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北米不動産の2021年最新版トレンド・レポートを読み解く− Vol.3「安全管理の重要性」

Highlights

  • PwCとULIが共同発行する北米不動産市場トレンド・レポートの内容を紹介
  • 第3回のテーマは「安全管理の重要性」について
  • 新型コロナウイルスの影響で、物件の安全性・衛生性の重要性が高まっている

新型コロナウイルスによって高まる「安全管理」の重要性

ロンドンを本拠地とする世界最大級のコンサルティングファーム「PricewaterhouseCoopers(PwC)」と不動産・土地利用の専門家集団「Urban Land Institute(ULI)」が毎年発表している、北米不動産市場のトレンド・レポート「Emerging Trends in Real Estate(※1)」。

このレポート内から、アメリカ不動産投資の参考になるような情報をピックアップしてご紹介するシリーズの第3回。今回、取り上げるテーマは物件の「安全管理の重要性」についてです。

新型コロナウイルスの感染を防止すべく、日本で提唱された「3密」。海外でも「3C=closed spaces(密閉)・crowded places(密集)・close-contact settings(密接)」と翻訳されて、注目を集めました。この言葉からも分かるように、新型コロナウイルスの感染リスクは屋内でより高まる傾向があるため、多くの人々が出入りするオフィスや商業施設の関係者は危機感を抱いています。

北米不動産業界においても例外ではなく、関係者の多くが物件を安全かつ清潔に保つための取り組みに精を出していますが、レポートでは具体的な取り組み例を挙げながら、安全管理面における北米不動産業界の動向を伝えています。

 

空調設備をいかに充実させるか、がキーポイントに

新型コロナウイルス対策を設備面から考える上で、まず注目しておきたいのが空調設備です。感染拡大を防止すべく、空調機器表面の清浄機能や、ろ過性能の向上、その他テクノロジー導入による「空間の再設計」に今、多くの物件オーナーが取り組んでいるとレポートは伝えます。

また空調面に限らず、衛生管理者や施設利用者への情報提供には「プロップテック」と呼ばれる不動産テクノロジーが積極的に活用されています。特にクリーンなビル環境や室内の空気、センサー、タッチレスエントリーなどを提供する新しいサービス・技術の登場が期待されます。太平洋岸北西部でオフィスビル建設に従事するデベロッパーは「ドアの自動開閉を行うモバイルアプリなどを開発し、ロビーやバスルームのドア、エレベーターのボタンなど、基本的にすべてのものをタッチレス化しようとしている」と述べています。

一方、こうした設備機能を充実させることが、環境面、特にエネルギー消費量の削減といった目標と噛み合わない可能性があることも指摘されています。ある複合施設デベロッパーは「空調システムの換気性を向上させることは、環境の持続可能性における基準と相反する部分がある」と述べます。ニューヨーク市のビルオーナーたちの中には、最近可決された地方法第97条(グリーンビルディング対策の意味合いが強い)に準拠するため、すでに物件の改修に着手している人も出てきており、この点に懸念を示している人もいるようです。

 

コロナ禍が落ち着いて以降も、安全管理は依然重要?

不動産物件における健康上の安全管理を重視するトレンドは、新型コロナウイルスが落ち着いた後も定着する可能性が高いと考えられます。

効果的なワクチンが開発されるなど対策法が確立されたとしても、心理的不安や季節性インフルエンザをはじめとする新たなウイルスへの懸念が常につきまとい、多くの人が将来的パンデミックを憂慮して行動することが予想されるからです。そのような懸念を踏まえてか、ある不動産データ会社のCEOは「賢いビルのオーナーは自分の物件の空気の清浄さを、こぞって主張するようになるだろう」と予測します。

レポートの内容を踏まえるなら、利用者や居住者の健康・衛生面に寄与する充実した機能を備えていることが、物件選びの大前提になる可能性は極めて高いと言えます。設備投資面のイニシャルコストと機能維持のための運用コストの両方に不動産業界の少なくない資金が投入されていく、とレポートは予想しており、あるデベロッパーは「開発予算全体の1~2%程度が健康・衛生機能のために使われる」とも予測しているようです。

こうした健康面の安全・安心につながるような設備面への投資は、新型コロナウイルスに限らず、その他さまざまな病気の感染予防にもつながるため、投資に見合うだけの価値を創出する。そのようにレポートは締めくくられています。

投資者目線においても設備投資の重要性、それによって利用者・居住者に的確な安全管理を保証することは、ポストコロナ時代の大きなキーポイントとなっていきそうです。

(※1)
https://www.pwc.com/us/en/asset-management/real-estate/assets/pwc-emerging-trends-in-real-estate-2021.pdf

 

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