1. Nvidiaを除く6社が2025年2Qの決算を発表。
2025年7月23日から7月31日にかけて、米国を代表するビッグテック企業「マグニフィセント7」のうち、Nvidiaを除く6社(Apple、Amazon、Meta、Microsoft、Alphabet、Tesla)が2025年第2四半期の決算を発表しました。
この1週間のあいだに発表された各社の決算は、AIやクラウドといった分野で引き続き成長を見せた企業がある一方で、市場の期待に応えきれず株価が下落する企業も出るなど、企業ごとの明暗がくっきりと分かれる内容となりました。
Metaの売上は前年同期比+22%の475億ドル、純利益は183億ドルと36%増加しました。広告最適化にAIを活用したことが奏功し、株価は発表後に11%上昇して過去最高値を更新しています。
Microsoftもクラウド事業が絶好調で、Azureを含むクラウド収入は+39%成長しました。売上高は764億ドル(+18%)、純利益は272億ドル(+24%)と、文句なしの好決算です。
Alphabet(Google)は売上高964億ドル(+14%)、純利益282億ドル(+19%)と堅調でした。Google Cloudの収益は+32%増となり、クラウド部門の営業利益も倍増しました。
一方、Amazonは売上こそ+13%増の1677億ドルと市場予想を上回りましたが、クラウド部門AWSの成長率は+17.5%と他社と比べてやや物足りず、株価は発表後に7%下落しました。
Appleは売上940億ドル(+10%)、純利益234億ドルと過去最高水準に達しましたが、AI分野でのインパクトが見えづらく、株価の反応は控えめな2%上昇にとどまりました。
Teslaは唯一の減収企業で、売上は▲12%の225億ドル、純利益も▲16%減の11億ドルでした。EV販売台数が14%減少し、度重なる値下げによって利益率も低下。マスクCEOが「今後数四半期は厳しい」と語るなど、慎重な見通しが投資家心理を冷やしました。
2.「全社揃って好調」の時代は終わった?
コロナ禍を経て生成AIブームが本格化した2023年以降、マグニフィセント7の多くはAIやクラウドの恩恵を受け、成長株として揃って高い業績を記録し続けてきました。とくにここ1年半(2024年Q1〜2025年Q1)は、7社すべてが比較的好調で、決算発表のたびに株価を押し上げる場面も多く見られました。
ですが、今回の2025年Q2決算では、はっきりと温度差が現れました。Meta、Microsoft、Alphabetが揃って増収・増益・株価上昇を達成したのに対し、Amazonはクラウド収益の伸び悩み、AppleはAI分野の評価の遅れ、Teslaは業績そのものの悪化と、各社ごとに評価が分かれる結果となりました。
これは、これまでのようにAIブームや金利安定といったマクロ要因だけでは、各社の株価を一様に押し上げることが難しくなってきたことを示しています。今後は、各社がどのようにAIを事業収益に結びつけていくか、事業ポートフォリオの柔軟性をどう高めていくかといった、企業ごとの実行力がより厳しく問われる局面に入ったと言えるでしょう。
こうした中で注目されるのが、最後の1社となったNvidiaの決算です。発表は8月27日(水)に予定されており、AIブームの最大の受益者とされるNvidiaの業績が、今後のハイテク株全体の地合いを左右すると言っても過言ではありません。
前四半期(2025年Q1)には売上が前年比+101%、データセンター部門が記録的な収益をあげました。今回のQ2でも売上・純利益ともに前年の2倍超が期待されており、アナリスト予想ではデータセンター部門の売上が250億ドル超と見込まれています。
ただし、株価はすでに年初来で倍以上に上昇しており、期待値は極めて高い状態です。わずかでもガイダンスが弱含めば市場の反応は大きく、Nvidiaの決算は「AIバブルが実体経済に根ざしたものかどうか」を見極めるリトマス試験紙となるでしょう。
明暗分かれた6社の決算ウィークを経て、Nvidiaがこの流れを再び「明」の側に引き寄せるのか、それとも沈静化を示唆するのか。8月末の決算発表に世界中の投資家が注目しています。
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