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トランプ政権の支持率が39%に低下。中間選挙イヤーを目前に灯る黄色信号

1.高い支持率からのスタートも、1年未満で低水準に

12月に公表されたロイター/イプソスの合同世論調査によると、トランプ大統領の支持率が39%まで低下しました。これは、第二次政権発足以降では最低水準に近い数字です。この39%という数字自体は、第一次トランプ政権や前バイデン政権と比べて「異例に低い」わけではありません。しかし重要なのは、第二次政権としては想定より早いタイミングで到達した点にあります。

第二次トランプ政権は、就任直後には比較的高い支持率でスタートしました。インフレ沈静化、関税再強化、減税再開といった政策方針が明確で、「何をやる政権なのか」が分かりやすかったことが背景にあります。発足当初は期待先行で支持率は4割後半にあり、少なくとも経済面では一定の信任を得ていました。

しかし春から初夏にかけて状況が変わります。関税強化や移民抑制がスローガン段階から実行フェーズに入り、企業コストや物流コストの上昇が意識され始めました。物価全体が急騰したわけではありませんが、生活必需品やサービス価格が「下がらない」状態が続き、家計の負担感がじわじわと蓄積していきます。

夏以降、インフレ率そのものは鈍化傾向を示し、賃金も名目上は伸びているものの、住宅費や保険料、教育費といった固定費の高さが重くのしかかり、有権者の生活実感はほとんど改善しませんでした。この時期から支持率は下げ止まらず、回復の兆しを見せない状態が続きました。秋から12月にかけて、その乖離はさらに鮮明に。政権側は「経済は強い」「数字は改善している」と繰り返しましたが、家計側の実感とは噛み合いませんでした。

今回の調査でも、経済運営への評価や生活コストへの対応は低水準にとどまり、共和党支持層の中でも経済評価が揺らぎ始めたことが示されています。その結果として、支持率は39%まで低下しました。ここまでの流れを見ると、支持率低下は失言や単発の事件によるものではなく、経済評価の積み重ねによる結果であり、それだけに重い意味を持つと捉えられます。

2.支持回復の鍵は、家計の生活実感をラクにできるかどうか

では、なぜ経済評価がこれほどまでに支持率を押し下げているのでしょうか。構造的な要因は大きく3つに分けられます。

第一に、「インフレは下がったが、生活は楽になっていない」という問題です。マクロ指標上の改善と、家計の体感は必ずしも一致しません。とりわけ家賃、保険料、教育費など、削りにくい支出が高止まりしている状況では、物価指数が落ち着いても評価は改善しにくいです。有権者の判断軸はCPIではなく、「毎月の支払いが軽くなったかどうか」に移っています。

第二に、関税や移民抑制策の副作用が可視化されてきた点です。製造業回帰や国境管理といった政策の象徴性は理解されていても、短期的には価格上昇や人手不足として認識されやすくなります。「正しい政策か」よりも「高くつくかどうか」が、評価の基準になりつつあります。

第三に、共和党内の温度差です。全体としての支持は維持されているものの、経済運営への評価を軸に、穏健派と強硬路線支持層の間にズレが生じています。中間選挙を意識する議員ほど、生活コストに対する有権者の不満に敏感になっており、これが政権の求心力をじわじわと削っています。

今後の支持率を展望すると、短期的には40%前後で低迷する可能性が高いでしょう。生活コストの体感改善が見られない限り、メッセージ修正だけでの反転は難しそうです。一方、中期的には減税効果の実感やエネルギー価格の低下など、「生活が軽くなった」と納得できる材料が出てくれば、一定の反発余地は残っています。逆に、インフレ再燃や金融市場の調整、失業率上昇が起きれば、さらなる下振れもあり得ます。

第二次トランプ政権の支持率は、すでに理念や対立構図ではなく、家計の実感によって左右される局面に入っています。中間選挙は、政策思想の是非を問う選挙というより、「生活を本当に楽にしたのか」を問う評価選挙になる可能性が高いと言えるでしょう。投資家にとっても、この支持率の動きは、米国経済と政治リスクの温度感を測る先行指標として注視すべき局面に入っています。

 

 


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