過去最低水準の金利を記録
今週はアメリカの住宅ローン金利についてレポートいたします。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、連邦準備理事会は経済の下支えとして、巨額の資金を金融市場に投下しました。それにより消費者の借り入れコストが低下。さる7月16日、30年固定金利の住宅ローンは、平均金利が3%を下回りました。これは1971年にデータ公開が始まって以来、初の出来事です。
在宅命令の緩和に伴い、6月より住宅成約件数は急速に回復しています。加えて、この度の過去最低水準となる金利。これまで購入を検討していなかった多くの潜在的な顧客も、購入に向けて動き出すことが予想されます。
新型コロナウイルスの影響による住宅ニーズの変化
一方、新型コロナウイルスの影響により、住宅ニーズの一部に変化が見られています。高齢者や新生児のための個室の需要が拡大。また、リモートワークの広がりによってワーキングスペース確保のニーズも伸長しています。このため、安価で建物面積が広い、郊外の住宅に注目が集まっています。
車社会のアメリカでは、住みよい環境を手に入れるため、郊外に住宅を購入することは珍しくありません。そして「住みよい環境」の条件には、通勤や都心部への移動を考えた、交通の便が含まれていました。
しかし、全米リアルター協会からの発表によりますと、新型コロナウイルスの感染拡大後に住宅を購入した人の約3割が、通勤に関する条件を新たに変更しています。加えて、購入者全体の約2割が通勤を特段考慮していないとのこと。こうした傾向はこれまでとは明らかに異なる大きな変化といえるでしょう。
リモートワークがオフィスの移転を後押し
また、郊外へと向かう動きはオフィスでも同様です。2017年から土地価格の手頃さから、オフィスを郊外に置く企業は増加傾向にありました。加えて今般のリモートワークの普及によって、企業はオフィスを都心部に構える必要性が薄れ、郊外へと移転する動きが一層強まりそうです。
新型コロナウイルスの感染拡大は、人々の生活に大きな変化をもたらしつつあると言えそうです。
以上、田力優がお伝えいたしました。
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