1.値段を変えずに容量を減らすサイレント値上げが横行
2024年2月11日、バイデン大統領は自身のX(旧Twitter)アカウントから投稿した動画のなかで、スナック菓子メーカーに対しシュリンクフレーションを行わないよう呼びかけました。
シュリンクフレーションはShrink(縮小)とInflation(インフレ)を組み合わせて生まれた言葉で、価格を下げずに内容量を減らすことを指します。日本では、サイレント値上げやステルス値上げと呼ぶ方が馴染みがいいかもしれません。企業はこれを、原材料費や人件費が上がるなかで価格を保つための努力と説明しますが、実質的には値上げであり、国民の家計を圧迫しています。
民主党上院議員ボブ・ケーシーが23年12月に発表した報告書によると、2020年7月から2022年7月にかけてのインフレ率は14%だったのに対し、企業利益は同期間に74%も増加しています。FRBの調査でも、同期間のインフレのうち41%は企業の利益拡大が要因だと報告されており、企業がインフレに乗じて自社の利益を増やしていることが伺えます。
2.注目度の高いスーパーボウル前のメッセージは、経済対策のアピールか
ボブ・ケーシー議員の報告書内では、シュリンクフレーションが確認できる具体的な商品名もいくつか挙げられています。例えば、ダブルスタッフドオレオのパックの重さは6%、ゲータレードのボトルの容量は12%、ウォルマートのグレートバリューウルトラストロングペーパータオルロールの枚数は28%減ったそうです。
バイデン氏の投稿は、アメリカで最も多くの人がTV視聴するスポーツイベントとされるスーパーボウル(アメリカンフットボール・リーグの優勝決定戦)を前に発信されました。全米で1億人が観るとも言われるスーパーボウルは、放送時間が4時間前後に及ぶため、観戦前にスナックを買い込む家庭が増えます。多くの家庭の家計に影響を与えるとともに、注目度の高いこのタイミングにメッセージを発信することで、政権としてのインフレへの取り組みをアピールする狙いもあるものと見られています。
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