1. トランプ支援団体の年間資金調達額は約3億ドルと報道
2025年、ドナルド・トランプ前大統領を支援するスーパーPAC「MAGA Inc.」が調達した政治資金の総額が、年間でおよそ3億ドルに達したことが明らかになりました。これは米連邦選挙委員会(FEC)の報告資料や複数の主要メディアの調査で裏付けられており、大統領経験者として再選を狙う人物に対する資金規模としては、歴史的にも異例とされています。
この巨額資金の背景には、AIや暗号資産など、急成長を遂げている業界からの高額献金があると指摘されています。たとえば、OpenAI社の社長グレッグ・ブロックマン氏とその妻は、2025年9月にそれぞれ1,250万ドル、合計2,500万ドルを「MAGA Inc.」に寄付。これは同団体が2025年後半に調達した1億200万ドルのうち、約4分の1を占めるインパクトを持っていました。
また、暗号資産取引所Crypto.comを運営するForis DAX社は、1年間で約3,000万ドルもの資金を提供。暗号資産業界からは他にも、Binance、Gemini、Coinbase、リップルなど主要プレイヤーが相次いで7桁ドル規模の寄付を行っており、合計では業界全体で2,100万ドル超の支援が確認されています。
こうした動きは金融業界にも広がっており、ブラックストーンのCEOスティーブン・シュワルツマン氏は500万ドルを、プライベートエクイティ投資家のコンスタンティン・ソコロフ氏は1,100万ドルを献金。さらに、TikTokの親会社ByteDanceの投資家でもあるジェフ・ヤス氏は、TikTok米国事業の買収協議と並行する形でトランプ陣営に1,600万ドルを寄付したと報じられています。
2. 献金に対する見返りを隠そうとしない姿勢に、ギルデッド・エイジ(格差と癒着が広がった19世紀末)」の再来と批判
問題視されているのは、これらの献金と政権の政策判断があまりにも密接に関係しているのではないか、という点です。暗号資産分野では、トランプ政権が従来の批判的な姿勢を180度転換し、「軽規制」や「司法省による追及の縮小」を進めています。AI業界においても、OpenAIの大規模データセンター構想「スターゲート・プロジェクト」への支援や、州政府によるAI規制を排除する大統領令など、企業にとって都合の良い政策が次々と打ち出されています。
また、こうした傾向は国家安全保障にも影を落としています。2024年に成立したTikTokの米国事業禁止法の執行が、2025年に入り何度も延期されている背景には、TikTok関連企業からの多額献金があるのではないかとの見方もあります。実際、TikTok米国部門を買収しようとしていた投資ファンド幹部や、親会社の株主が政権に多額の資金を提供していたことが確認されています。
さらに懸念を深める事例として、恩赦や司法取引を受けた人物の親族が、その直前に高額の政治献金を行っていたことも明らかになっています。たとえば、あるベネズエラ系銀行家の娘は、父親の重大な刑事訴追が取り下げられた直後にMAGA Inc.に100万ドルを寄付。また、税務犯罪で服役していた人物の母親が500万ドルの小切手を切った後、トランプ大統領から恩赦が与えられたケースも報道されています。
こうした一連の動きを受け、米国内では「Pay-to-Play(カネを払えば見返りがある)」という、金権政治的な統治スタイルが再び台頭しているとの批判が高まっています。2026年1月、英ガーディアン紙はトランプ陣営の資金調達手法と政策の方向性に対し、「新たなギルデッド・エイジ(格差と癒着が広がった19世紀末の“金ぴか時代”)」が再来していると論じました。
連邦選挙委員会(FEC)の元幹部ラリー・ノーブル氏は、「これは選挙資金と見返りの応酬という典型例であり、政策が公共の利益でなく、金を出した者に向かって傾いていく構造だ」と警鐘を鳴らします。元共和党下院議員のデイブ・トロット氏も、「いまや恩赦からエネルギー政策、宴会場建設まで、あらゆるものが“売り物”になっている」と発言。特定の業界や企業が政権と結び付き、実質的に政策を“購入”している構図に対する危機感は、党派を超えて広がりを見せています。
2026年の大統領選を控え、こうした政治資金と政策決定の関係性は、米国の民主主義の根幹を揺るがすテーマとしてますます注目を集めていきそうです。
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