米国の異常気象の原因は北極の温暖化する研究がサイエンス誌に掲載
米国の一部地域における異常気象の増加が、北極の温暖化の加速と関連していることを示す新しい研究結果が、学術誌「Science」で発表されました。衛生の記録から過去40年にわたり、地球の気温上昇が北極に大きな影響を与えていることが明らかになりました。地球科学者たちは、北極圏の温暖化が極渦(きょくうず。周極渦、ポーラーサイクロン、北極低気圧、南極低気圧などとも)と呼ばれる円形の風のパターンを生じさせていることを発見。これにより、2月のテキサスの寒波に代表されるような寒さが米国に流れ込んできたのです。著者らは、地球温暖化によって、一部の地域はかえって寒くなるだろうと述べています。
研究者らは、この温暖化した地域と極渦と呼ばれる寒気の旋回区域が接することで生じる複雑な気象学的連鎖について詳しく説明しています。温暖化はバレンツ海やカラ海の氷を融解させ、シベリアでの降雪量の増加をもたらすとともに、膨大な熱エネルギーが北極上空の成層圏に流れ込むことで極風に影響を及ぼします。熱は渦を引き延ばし、極寒の気候が米国に流れ込む仕組みです。1979年の衛星観測開始以来、このような渦の伸長現象が増加しています。
共著者であるエルサレム・ヘブライ大学のチャイム・ガーフィンケル教授は次のように述べています。「今回の研究は、世界的に気温が上昇しているにも関わらず、米国やユーラシア大陸北部では極端な寒さが増加しているという明らかな矛盾を解決するのに役立ちます。これまでは、米国とロシアの寒冷化が、二酸化炭素を削減しないことを正当化する理由として使われてきましたが、(今回の研究によって)排出量の削減をすぐに始めない言い訳はもはやなくなりました」
45人以上の死者を出したハリケーンによる鉄砲水と竜巻
ジョー・バイデン大統領は、ハリケーンによる鉄砲水と竜巻によって少なくとも45人が死亡した北東部の状況を踏まえ、気候変動に対処するためには「歴史的な投資」が必要であると述べました。米国は全土で気候関連の危機に直面しています。
ニューヨーク市とニュージャージー州ではこれまでにないレベルの降雨があり、6つの州で人命が失われました。バイデン大統領は両州に緊急事態を宣言し、両州は連邦政府の資金援助を受けて地元の災害救援活動を支援することができるようになりました。
気候変動が嵐の発生頻度に与える影響は完璧には解明されていませんが、多大な関連性があることは明らかです。海面温度の上昇によって上空の寒気が温められ、ハリケーンやサイクロン、台風を駆動するためのエネルギーが増大。その結果、より激しい雨が降ると考えられています。
工業化時代が始まって以来、世界は既に約1.2℃気温が上昇しており、世界中の政府が排出量を大幅に削減しない限り、気温は上昇し続けるでしょう。
バイデン大統領は、道路や橋の近代化、エネルギーグリッドや上下水道システムの改善など、インフラへの「歴史的な投資」を行う「Build Back Better(より良い再建を)」計画の実行を議会に働きかける予定です。
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