賢人を賢人たらしめている行動や考え方は。そして大切にしている習慣は──。
インタビューを通じて、そんな共通点を探っていきます。
スポーツではなく神事である
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先ほど、修行という話がありましたが、辛くなかったですか。
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一つ間違えたら一つ叩かれて、それで一つ覚えていきました。連帯責任で叱られることもあって、夜の9時ぐらいに集合がかかって正座させられるわけです。150Kg、200Kgの人間が正座させられて、そこから説教が始まるんですから、そりゃあ大変ですよ。ただこれがいじめや嫌がらせだと思ったことはないですね。失敗したんだから叱られて当然だ、これも修行だと。
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体罰ではないと。その線引きは、今の時代、難しいですね。
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失敗を叱ると、ハラスメントだと言われてしまいますからね。これは角界よりも、むしろ一般企業さんの方が悩ましいんじゃないですか。こうしたことが日本の国としてプラスなのかマイナスなのか、ちゃんと考えなくてはならないと思っています。
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そうした下積みがあってこそ強くなって、横綱にもなれると。
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大相撲というのはスポーツじゃなくて、何100年も受け継がれてきた伝統であり文化なんです。起源は日本中の村にある神様を祀りたいということで、我々が土俵の外に15日間の無事を祈って4色の総(ふさ)を吊すのも、そこに神様が宿っているからです。要するに大相撲は神事なんです。そういう神聖な場で男同士が闘っている。だから私たちはアスリートでもないし、プロフェッショナルでもなく、日本の伝統と文化を受け継ぐ役目だと考えています。
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課題としては、やはり人材の獲得ですか。
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今は600人ほどの相撲取りがいますが、どんどん年齢層が上がっているのは確かです。私の部屋にも46歳の相撲取りがいまして、入門以来1日も休まずに相撲を取っています。
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それはすごい。
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さすがに稽古の量は落ちてきましたが、それでも若い子より胸を出して汗もかいています。朝も一番早く起きて土俵に降りてくるし、頑張っている。一方で若い人材がもうちょっと増えてほしいという気持ちもあって、やっぱり15歳や18歳で入ってきて、いろんなことを学びながら成長していく、そんな子が欲しいですね。
※この対談は2023年5月30日に弊社「GINZA XI」ラウンジ(東京・銀座)にて行われました。
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