1.インドの不動産に集まる海外マネー
先日、中国を抜いて人口世界一の国になったインド。経済面でも人口増に負けず劣らずの速度で成長しており、不動産業界も例外ではありません。
世界中で事業用不動産サービスを提供するCBREの南アジア子会社が公開したレポート「India Market Monitor 2022」によると、2022年のインド国内不動産への投資額は、78億米ドルに達し、前年比32%の成長を記録したとのことです。
注目すべきは、投資額の実に57%が外国人投資家のものだったこと。ちなみに、CBREの日本法人の調査によると、日本国内不動産への投資の外国人比率は30%(※2021年度のデータ)。割安で絶好の「買い場」だと言われている日本ですらこの数字ですから、インドに対する外国人投資家の期待がいかに大きいかが分かります。
2.中国不動産の教訓を活かし、リスクチェックの徹底を
インドの不動産を購入している人の国籍は、首位のカナダ人が37%、次点のアメリカが15%でした。投資分野は、土地/開発用地取得が48%(うち44%は住宅開発用途)、オフィス取得が35%で、小売店舗や倉庫・物流などを圧倒。急激に増える人口に対応するために、まずは住む場所・働く場所の整備が進んでいるということでしょう。
世界中から集まる投資マネーで現地不動産市場が盛り上がっているのは間違いありません。しかし、安易にこの流れに乗ることはおすすめしません。というのも、我々は同じように急成長していた不動産市場がクラッシュするところを、目の当たりにしたばかりだからです。そう、中国のことです。ほんの数年前まで空前の盛り上がりを見せていた中国不動産市場ですが、近年は無理な資金繰りが祟って着手済みの建築計画すら満足に進められない状況に陥っているこをは、当メディアでも何度もお伝えした通りです。
中国とインドの成長背景は細かく見れば多くの違いがあるものの、巨大な人口をエンジンにしている点や、法整備が急成長に追いついていない点など、重要な類似点があります。インドの不動産市場が大きなエネルギーを秘めていることは否定しませんが、同じだけ大きなリスクがあるということでもあります。手を出す際には、念入りなリスクチェックと、撤退ラインの明確化を徹底されることをおすすめします。
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