
【この記事のポイント(Insights)】
- トランプ関税が物価上昇を招き、インフレ期待が高まった結果、住宅ローン金利は7%超で高止まりしている。
- 高金利は買い手の購買力を削ぎ、売り手は金利バイダウンなどの工夫で実質価格を調整している。
- 金利が高くても投資を止めるのではなく、地域選定やローン戦略の見直しで十分に勝機を見出せる。
世界の経済に多大な影響を与えているトランプ関税。米国不動産市場も例外ではありません。そこで、トランプ関税が米国の不動産市場にどのような影響を与えるのかを全4回のシリーズで考察します。
第2回のテーマは「住宅ローン金利」。2025年春現在、米国の住宅ローン金利は7%超と高止まりが続いています。この高金利の背景に、トランプ関税があるというと意外に感じるでしょうか? 本記事では、関税と住宅ローン金利の意外な関係をわかりやすく解説しながら、高金利環境下での買い手・売り手の動き、そして日本人投資家が取りうる戦略について、実例を交えて読み解いていきます。
関税が住宅ローン金利を上げるメカニズム
まず前提として、多くの人が「住宅ローン金利=FRB(連邦準備制度)の政策金利」と思いがちですが、実際にはもっと複雑です。30年固定の住宅ローン金利は、FRBが直接決めるものではなく、市場の長期金利(特に10年債利回り)やインフレ期待によって動いています。
2025年4月現在、この30年固定ローンの金利は約6.8~7.2%で推移しています。これはコロナ直後の2020年に記録した2.7%前後と比べて、ほぼ3倍近い水準。金利の高止まりは住宅購入の大きな障壁になっています。
その背景の一つが、本記事のテーマであるトランプ関税です。2025年4月、全輸入品に対する一律10%のベース関税が導入され、鉄鋼やアルミニウムなどには追加の25%関税が上乗せされました。これにより、建材、家電、食品などの価格が上昇し、消費者物価指数(CPI)にも上振れ圧力がかかっています。
物価が上がれば、投資家は将来のインフレを織り込み、長期金利(=住宅ローン金利のベースとなる10年債利回り)が上昇します。さらに、インフレが高止まりすればFRBも政策金利の引き下げに慎重にならざるを得ず、結果として住宅ローン金利の“下げ余地”も限られることになります。
加えて、トランプ政権は歳出拡大を公言しており、米国債の増発が避けられない状況です。供給が増えれば、国債価格は下落(=利回り上昇)し、それも長期金利の上昇要因となります。
こうした環境下では、住宅を購入するための借入可能額も大きく制限されます。たとえば、年収8万ドルの世帯が4.0%の金利で借入できる場合と、7.0%の金利で借入する場合とでは、借入可能額にして約10万ドル以上の差が出るというシミュレーションもあります。これは、住宅の“実質的な手の届きやすさ”が著しく変わることを意味します。
買い手と売り手、双方を振り回す高金利
投住宅ローン金利の高止まりは、買い手と売り手の双方に大きな影響を与えています。まず、買い手側では「ローンの支払いが重すぎる」と感じる層が増え、購入を見送ったり、価格交渉を試みるケースが多く見られるようになっています。一方で、自己資金に余裕のある層は、競争の減った市場でキャッシュ買いを行い、逆に強い立場で交渉を進めています。
また、投資家層においては、高金利によって借入ベースでの投資利回りが出にくくなっており、地域や物件タイプを厳選したうえでの慎重な投資が求められています。中には、ローンを避けて現金で購入する投資家や、頭金を厚めにして借入額を減らす投資家も増えています。
一方の売り手側でも、需要の減退に対応するための動きが見られます。たとえば、ビルダーや中古住宅のオーナーは、「金利バイダウン」と呼ばれる戦術を採用し、買い手に対して一定期間のローン金利を肩代わりすることで、購入を促すインセンティブを提供しています。これは「表面価格は変わらないが、実質価格は下がっている」という状況を生み出し、買い手にとっては“お得感”を感じさせる手法でもあります。
このように、市場全体が高金利に翻弄されながらも、それぞれの立場で戦略を変え、対応しているのが2025年春の米国不動産市場の実情です。
投資家へのヒント:高金利時の立ち回り
では、こうした高金利環境の中で、特に日本人投資家はどのように立ち回ればいいのでしょうか。
まず意識したいのは、「金利が高い=すべてが悪い」というわけではないという点です。たとえば、移住需要が強く人口増加が続く州(テキサス州、フロリダ州など)では、住宅需要が底堅く、金利が高くても中長期的に安定した賃貸需要が見込めます。こうしたエリアでは、短期的な価格下落よりも、長期でのキャッシュフローや価値維持を重視した投資が有効です。
次に、ローンのタイプ選びも大切なポイントです。金利が高止まりしている局面では、「変動金利ローン」や「短期固定+再設定型ローン」などを活用することで、初期金利を抑え、将来的な借り換えの柔軟性を持たせる戦略も検討に値します。特に、金利が下がったタイミングでの再借入を視野に入れた設計が有効です。
また、住宅ローン控除制度(Mortgage Interest Deduction)にも注目しましょう。これは、米国では住宅ローン金利の支払利息を所得控除できる制度であり、一定の条件を満たせば投資用物件でも活用できるケースがあります。高金利時こそ、このような節税効果をフル活用したいところです。
さらに、グローバル投資家としての視点も忘れてはいけません。FRBの政策方針、インフレ率(CPIやPCE)、失業率など、米国の主要経済指標に定期的に目を通しておくことで、次の金利動向をある程度予測することが可能になります。
結論として、「金利が上がったから投資をやめる」のではなく、「金利を前提にした戦略をどう組むか」が重要です。高金利環境の中でも、資金調達、地域選定、ローン戦略、税制活用といった複数の要素を組み合わせることで、十分にチャンスは見出せます。
今後、さらにインフレが進むのか、あるいは景気減速を受けて利下げ局面に入るのか、不透明な部分も多いですが、そうした中でも“情報に強い投資家”であることが、差を生む時代に入ってきています。
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