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トランプ大統領、政府系住宅金融機関に住宅ローン担保証券の買い支えを指示

1. トランプ、ファニーメイ / フレディマックにMBS購入を指示

ホワイトハウスは1月20日付のファクトシートで、トランプ大統領が政府系住宅金融機関(GSE)であるファニーメイ/フレディマックに対し、合計2000億ドルのMBS(住宅ローン担保証券)購入を指示したと明記しました。これに先立ち、トランプ氏は1月8日ごろにTruth Socialで「2000億ドルの住宅ローン債を買うよう指示する」と発信したとReutersが報じています。

この指示は、MBS購入により住宅ローン金利を下げることを目的としたものです。住宅ローンの多くは、最終的にMBSとして投資家に売られる前提で値付けされます。MBSの価格が高い(=投資家が低い利回りを許容する)局面では、金融機関は借り手に高い金利を乗せなくても資金回収できるため、住宅ローン金利を下げやすくなります。政権は、GSEに大量のMBSを買わせることで、「MBSの価格が高い局面」をつくろうとしているのです。

政策的な買い支えを行おうとする背景には、住宅価格の高止まりと高金利で「住宅が買えない」状況が政治課題化していることに加え、FRBが量的引き締めの枠組みでMBS保有を縮小を進めている点があります。 財務長官ベッセント氏は、このMBS購入の狙いはFRBの保有縮小ペースに見合う形で相殺することだと述べたと報じられています。 なお、購入枠・上限の扱いについては情報が錯綜しています。AP通信はFHFA(米連邦住宅金融局。GSEおよび連邦住宅貸付銀行を監督・規制する独立機関)の内部メールとして「保有上限を大幅に引き上げた」と報道する一方、パルト氏はXで「報道は誤り」としつつ「追加購入(増分)の合計は2000億ドルを超えない」と主張しています。

2. 住宅ローン金利にどの程度の影響が及ぶかはまだ未知数

今後の焦点は、「どこまで住宅ローン金利を下げられるか」よりも、「モーゲージ・スプレッド(住宅ローン金利が国債利回りなどの基準金利に対してどれだけ上乗せされているか)」の縮小がどの程度起きるか」に移ります。

現時点では、2000億ドルは市場規模に比べると相対的に小さいとの見方があり、効果は限定的になり得るとされています。短期的には“期待先行”で関連株やスプレッドが反応しても、実際の購入ペースや対象銘柄が不透明な限り、持続的な金利低下に直結するとは言い切れません。 むしろ副作用として、供給制約(在庫不足)が残る局面で金利だけを刺激すれば、購入余力が住宅価格の下支えに回り「買いやすさ(affordability)」の改善が相殺されるリスクが指摘されます。

また、ファニーメイ/フレディマックについては長らく民営化(IPO)に関する議論が行われていますが、政府がGSEのバランスシートを住宅金融の政策手段として使うほど民営化が遠のくのではないかという声もあり、さまざまな観点で賛否が分かれています。

投資家にとっては、米住宅市場そのもの以上に「政策がスプレッドに介入する前例が増えるか」が重要です。次に見るべきは①両社の購入実績が公式開示(投資ポートフォリオの月次等)にどこまで表れるか、②FRBのMBS縮小運用と“相殺”がどの程度続くか、③上限運用をめぐる当局説明が整理されるか、の3点。住宅ローン金利が下がる(あるいは下がらない)と判断するのは、具体的なアクションが始まってからのほうが良さそうです。

 

 


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