ロシアの侵略によるウクライナの被害
ロシア軍がウクライナに本格的な攻撃を開始、北、東、南から攻撃を仕掛けています。
ウクライナのゼレンスキー大統領によると、2月24日、兵士および民間人を含むウクライナ人137人が死亡。首都キエフなどでは人々が脱出を試みており、国連によるとこれまでに約10万人が脱出しました。また、50万人が住む港町マリウポリでは数百回の爆発により大火事が発生。世界最悪の原発事故で知られるチェルノブイリ原発をロシアが掌握したとの報告もあるなど、事態は混迷を極めています。
こうした状況を受け、英米が銀行の資産凍結を含む新たな対ロ制裁を発表しました。プーチン大統領はロシアを守るためには他に方法が無かったと擁護していますが、米国のジョー・バイデン大統領は、プーチン大統領の攻撃はロシアに大きな犠牲を強いることになるだろうと述べました。
ウクライナのゼレンスキー大統領は総動員を命じる政令に署名し、武器を持つことができるすべてのウクライナ人に、祖国を守るために戦うよう要請しました。90日間有効のこの法令により、国内の徴兵対象者および予備兵が召集されます。首都キエフのバス、鉄道駅には長蛇の列ができ、人々は必死でウクライナ西部の地域に向かおうとしています。ウクライナの国家国境警備隊(DPSA)は、18歳から60歳までのすべてのウクライナ人男性の出国を禁止すると発表しました。
欧米の制裁へのロシアの対抗策
ウクライナへの侵攻を開始したロシアに対し、各国が経済制裁をはじめました。しかし、ロシアには制裁に耐えるための準備があります。
2014年、ロシア軍がウクライナの一部だったクリミアに進駐した際にも、国際的な制裁が行われました。それ以来、ロシアは自国経済を制裁から守るために防衛体制を整え、ドルへの依存から脱却しようとしてきたのです。
今年1月までにロシア政府の外貨と金の外貨準備高は6300億ドル(464億円)を上回り、過去最高水準に達しました。これは世界で4番目に多い外貨準備高であり、ロシアの通貨・ルーブルを長期に渡って下支えできる金額です。注目すべきは、ロシアの外貨のうちドル建てで保有されているのは16%であり、5年前の40%から減少していることです。このことからも、アメリカ主導の制裁を意識・警戒してきたことが分かります。また、ロシア経済の構造には別の変化もありました。時間の経過とともに海外からの融資や投資への依存度が下がり、欧米市場から離れた新しい貿易の機会を積極的に求めるようになりました。
ロシアの石油・ガス産業に制裁を加えることによる影響は国によって異なります。プーチン大統領は、制裁国である米国、英国、EUそれぞれで異なる思惑があると踏んでいるようです。欧米の指導者たちは、ここ数日の間で発表された制裁措置は、いくつかの可能性がある段階の一つに過ぎず、圧力はかなり強化することができると述べています。
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