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対カナダのトランプ関税をめぐり、米下院で波乱の決議

1. 共和党内の亀裂が表面化

米国下院が2026年2月11日、対カナダ関税の根拠になっている「国家緊急事態」を終了させる共同決議H.J.Res.72を219対211で可決しました。関税そのものを“議会が直ちに撤回した”というより、2025年2月1日の大統領令(北側国境からの違法薬物などを理由に、IEEPAと国家緊急事態法の枠組みで関税を発動)を土台から崩しにいく構図です。

この決議が注目された理由は、その中身と同じかそれ以上に、可決に至った経緯にあります。というのも、議案提出者は民主党所属のグレゴリー・ミークス議員だったから。下院は共和党が小差で多数派で、可決するには一部共和党議員の賛成が不可欠です。加えて前日の2月10日には、共和党所属の下院議長らが妨害策を実施。別の法案審議のための議事運営ルールに“緊急事態に基づく関税に異議を唱える決議を、当面上程できない条項”を入れようとしたのです。

この妨害策には共和党議員の一部が反対し217対214で否決。翌日に共同決議H.J.Res.72の採決が行われると、またしても共和党議員の造反があり219対211で可決となりました。結果として、共和党からも賛成が出て“党内亀裂”が見える形になりました。一方で、共同決議は上院可決と大統領署名(または拒否権を覆す両院2/3)が必要で、実現は非常に困難です。そのため、現時点では象徴的な色合いが強い、というのが冷静な整理です。

2. トランプ関税は、硬直化するのか? 軟化するのか?

投資家視点で重要な論点は、トランプ関税がどこまで維持されるかそのものより、「関税が“政治のコスト”として可視化されたことで、政策が硬直化するのか、例外や猶予で軟化するのか」です。

維持されれば、輸入コストの転嫁を通じてインフレ圧力が残り、FRBの利下げ期待を鈍らせるリスクがあります。実際、2025年のFOMC議事要旨でも、関税がインフレを押し上げ得る点が論点になり、スタッフ見通しが議論の前提として共有されました。住宅投資の目線でいえば、利下げが遅れれば住宅ローン金利の高止まりが長引きやすいですし、建設コスト面でも逆風です。住宅業界団体NAHBは、「木材などカナダ依存の資材に加え、石膏ボードなど北米サプライチェーン全体でコスト要因になり得る」と警告しています。

逆に、政権が「撤回はしないが例外を広げる」「対象を絞る」「発動を緩める」といった柔軟な運用を行うのであれば、インフレとコストの上振れ懸念は薄まり、金利観測にも一息つく余地が出ます。今回の下院可決は、その分岐点を市場に突きつけた出来事で、次の焦点は上院の動きと、ホワイトハウスがどの程度“軟化の形”を提示するか、ここに集約されます。

 


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