平均収入が減少するなか、住宅価格は高騰
新型コロナウイルスによるパンデミックの中、世帯収入が減少した一方でアメリカでは全国的に住宅価格が高騰しています。その結果、多くの住宅購入希望者にとって手の届かない価格となってしまいました。この住宅価格高騰の問題はパンデミック以前から問題になっていました。
全住宅建設業者協会のウェルズ・ファーゴ住宅機会指数のデータをもとにバンクレートが分析したところ、過去10年間で、住宅価格の中央値は約30%上昇したものの、所得の上昇は11%でした。50年間の調査ではその差はさらに顕著で、住宅価格の上昇スピードに所得の上昇が付いていけていないことが分かります
不動産エージェントの仲介サービスを行うClever Real Estate社は、アメリカで住宅を購入するためには、2021年時点で14万4,192ドル(全州平均)の収入が必要と試算しました。これは世帯収入の中央値である6万9,178ドルをはるかに上回る金額です。一般的に、月々の住宅ローン支払い金額は、税金などの控除を受ける前の総月収の30%以下であることが望ましいとされています。また、年収ベースでは2.5倍以内に収めるべきだともよく言われます。しkし、パンデミックで住宅価格が高騰したことで、いまや住宅価格は一般的な購入者の総収入の平均5.4倍の価格になっています。
家計の資産の大半は、住宅資金と退職金の2つの資産で占められているため、このような歴史的な住宅価格の高騰は、世代間の貧富の格差をより広げています。さらに、初めて住宅を購入する人は過去に住宅を売却した際の資金がないため、より不利な状況に置かれています。
住宅ローン金利が2週間連続下落
11月第一週、住宅ローン金利が2週間連続で低下したことにより、久しぶりに借り換え需要が高まりました。その結果、住宅ローン銀行協会の季節調整済指標によると、先週の住宅ローン申請件数は前週比で5.5%増加しました。
コンフォーミングローン残高(54万8,250ドル以下)の30年固定金利住宅ローンの平均契約金利は3.24%から3.16%に低下、頭金が20%のローンではポイントは0.34%(オリジネーション・フィーを含む)と変わりませんでした。毎週の金利の動きに大きく影響される借り換え需要は、前週から7%増加しましたが、前年同期比では28%の減少です。
MBAのエコノミストであるジョエル・カンは、「全体的な活動は2020年1月の低水準に近い状態が続いているが、住宅所有者は金利の低下に基づいて行動した。さらに、借り換え申請の平均ローン残高は1か月ぶりの高水準となりました」と述べています。
住宅購入のための住宅ローン申請は、今週は3%増加したものの、前年同期比では4%減少しました。住宅市場は閑散期に入っており、需要は例年よりも強いものの、住宅購入者は以前として在庫が少なく価格の高い市場に直面しています。今週の住宅ローン金利はわずかに低下。現在は、9月下旬以来の良好な水準にあります。
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