アメリカ住宅市場、9月に一度落ち着くも、10月に再浮上
米国国税調査局が発表した9月の住宅着工件数は、予想を下回る1.6%の減少でした。年率換算すると156万戸で、8月の158万戸からわずかに減少しました。民営住宅の建設許可件数は、9月の季節調整済年間レートが159万戸件で、8月の改定値の172万戸から7.7%減少したものの、2020年9月のレートとほぼ変わらない水準。RCLCO不動産コンサルティングのケンリ―・マンゴールドは、「新築住宅着工件数は、8月の頭に一時的に反発したもの後、引き渡し時期への懸念から9月には再び減少に転じました。先月同様、一戸建てと集合住宅が、不足する労働力と資材を取り合った結果、集合住宅部門が総着工数のかなりの割合を占めています」と述べています。
一方、10月の全米住宅建設業者協会の住宅市場指数は、9月の改定値76から上昇し、速報値は80でした。Realtor.comの経済調査担当のマネージャー、ジョージ・ラティウ氏は、「市場が変化している」と考えています。
「今後3年間で480万人のミレニアル世代が30歳になり、住宅を所有するようになるため、購入者の需要は引き続き、堅調に推移すると予想されます」「パンデミックによるリモートワークへの移行は、住宅購入者の好みにも影響を与えています。(中略)変化した好みに応える住宅を、手ごろな価格で建設することが、住宅メーカーにとって最大の課題です」と述べています。
アメリカの小売市場、マイナス材料をはねのけ好調
米国国勢調査局の事前予測によると、9月の小売売上高は、予想を上回る0.7%の増加となりました。この上昇は、8月の0.9%につづく上昇です。エコノミストは、消費者は新型コロナウイルスのデルタ株を警戒していることや、インフレ率の急上昇を理由に、0.2%の低下を予測していましたが。
この上昇は、食料品とガソリンの売り上げが主な要因で、ガソリンスタンドの売り上げは前年比38.2%増、外食産業の売上は25.9%増の結果になりました。BODの小売・消費財プラクティスのナショナル・リーダーであるナタリー・コトリャーは、「学校に戻る学生やオフィスに戻る労働者が増えたことが、小売店の売上増加のきっかけとなっているようです」と分析しています。さらに彼女は、ハロウィンでの消費や、消費者がホリデーシーズンの買い物を早めに開始することから、売上の増加は10月に入っても続く見込みだと述べました。
一方で、今年の後半は、デルタ変異株、労働力や材料の不足、多くの商品の価格上昇など、経済的には引き続き逆風が吹いています。2021年の国内総生産(GDP)の成長率の見通しは徐々に下がってきています。新型コロナウイルスの累計感染状況は、今年の初めに予想された範囲よりも広範囲に広がっており、その影響で世界的なサプライチェーンに混乱が生じています。住宅や自動車生産など経済全体で使用される主要部品の不足がボトルネックとなり、価格上昇の圧力となりました。様々な問題が絡み合う経済情勢に要注目です。
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