1.つなぎ予算案が可決し、政府機関の閉鎖を回避
2025年3月11日、米国連邦議会下院は、2025会計年度(2024年10月~2025年9月)の政府閉鎖を回避するためのつなぎ予算案を、賛成217、反対213の僅差で可決しました。その後3月14日に行われた上院での最終採決では、必要票の確保には野党からも最低限の協力が必要でしたが、一部の民主党議員が賛成に回ったことで54対46で可決されました。
このつなぎ予算案は、これまでの継続予算案と同様に、基本的には2024会計年度の歳出水準を維持するものの、非国防予算を約130億ドル削減し、国防予算を約60億ドル増額するという内容が盛り込まれています。下院では、主に共和党議員の票によって承認されたため、議論自体は過去のような与野党間の激しい交渉を経ず、比較的早期にまとまりました。
つなぎ予算案は近年では毎年恒例となっている手続きですが、今回の審議は党内の調整や大統領トランプ氏の強い後押しもあり、過去と比較して迅速に可決されたと言えます。この予算案の特徴のひとつに、従来の個別プロジェクトとの紐づけ(いわゆる「イヤーマーク」)を排除し、行政側の裁量に大きな余地を残す点が挙げられます。そのため、具体的な配分は行政府が決定することになり、今後の運営や各省庁の予算管理に大きな影響を与える可能性があります。
政府閉鎖が回避されたことで、連邦政府の各機関は当面の運営資金を確保し、国民サービスの中断や経済への悪影響を防ぐことができました。
2.民主党の一部議員が賛成を投じる。イーロン・マスク率いるDOGEを警戒か。
審議を通して特に注目を浴びたのは、上院採血において野党である民主党の一部の議員が賛成票を投じたことです。上院の党内リーダーでもあるニューヨーク州選出のシューマー上院院内総務も、最終的な議事打ち切り決議に賛成したひとりです。
本来、民主党はトランプ政権や共和党の提案する予算案に対して、社会保障、医療、教育といった国内プログラムの維持を重視する立場から反対する傾向にあります。しかし、今回の上院投票では、政府閉鎖によって行政サービスが中断されることが、より大きなリスクであると判断されました。シューマー氏は「CR(継続予算)はひどい法案ですが、政府閉鎖に陥ればトランプ氏にさらなる権力を握らせることになる」と述べ、政府閉鎖による急激な組織再編や大規模な人員削減の懸念を背景に、苦渋の折り合いとして賛成に転じたと伝えられています。
もし政府閉鎖が実現すれば、トランプ政権やその支持基盤であるDOGE(イーロマン・マスクが率いる)が、「閉鎖を理由に効率化策を強行」する可能性があり、これが国民サービスの大幅な縮小につながる懸念がありました。民主党内ではこれに対する警戒感が強く、一部進歩派は「閉鎖が国の安全保障や社会基盤を脅かす」として、あえて共和党案に賛同し、行政の混乱を回避するための最低限の妥協策としての判断を支持する決断をしたのです。
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