リモートワーク普及を後押ししたZoom社がオフィスワーク回帰を推進
パンデミック下のリモートワークトレンドに乗って利用者を急増させたビデオ会議ツール「Zoom」ですが、同サービスを運営するZoom社はリモートワークだけではビジネスを推し進めるのに不十分だと考えているようです。
同社が23年夏から導入する新しい職務規定では、リモートワークとオフィスワークを組み合わせたハイブリッドワークを推奨。具体的には、従業員に対し週2日の出社を求める記述がありました。フルリモートワークを希望する従業員からは反対の声が上がっているものの、経営陣は新ポリシーを貫くようです。
ポリシー改定の意図を問う米メディアからの問い合わせに対し、同社広報は「Zoomでは計画的なハイブリッドアプローチが最も効果的です。つまり、オフィスの近くに住んでいる社員は、週に2日は現場に出てチームと交流する必要があるという意味です」と回答しました。
Zoom社はパンデミック中のニーズ拡大と金融緩和を追い風に株価を大きく伸ばし、2020年10月には1株あたり559ドルに達したものの、その後は下降を続け23年8月現在、70ドルを下回っています。市場評価の不振も、オフィスワーク回帰を決断する理由のひとつになっているものと思われます。
多くの企業が出社を要求するも、社員の一部は反発
Zoom社に限らず、Google、Amazon、Meta、Salesforceなどの大手テクノロジー企業も、軒並みオフィスワークを再開させる方針を発表していますが、どの会社でも少なくない数の社員からの反発があるようです。
例えばAmazonは、5月に改定した職務規定で週3日以上の出社を従業員に求めましたが、一部の社員はこれに従っておらず、業を煮やした会社側が社員に対し警告メールを送ったと報じられています。出回っているメールのスクリーンショット画像には「あなたに割り当てられた建物の準備はすでに整っている。にもかかわらず、少なくとも週に3日はオフィスで同僚と働いてほしいという会社の期待に、あなたは現時点では応えられていません。(中略)今後は週に3日以上オフィスに出社していただくようお願いします」と書かれていました。
リモートワークを前提に職場や住居、生活スタイルを決定した人々も多いため、急な方針転換に納得できない労働者が多数いるものと思われます。優秀な人員が、リモートワークを許可する企業へと流れていくのか、企業側のオフィスワーク回帰がより早く進むのか、要注目です。
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