巨大テクノロジー企業を牽制する法が、1年の準備期間を経て施行
昨年EUで可決され大きな話題を呼んだ欧州連合のデジタルサービス法(DSA)が、2023年8月25日に施行されました。
同法は、4,500万人を超えるEUユーザーを抱えるテクノロジープラットフォームを対象にした規制法で、インターネット上での詐欺や扇動、精神的な攻撃などを防ぐことを目的に設計されました。22年7月の可決以降、約1年間の猶予期間を経て、25日より効力を発揮します。これ以降は、法に定められた基準を遵守していない企業には罰金が科せられたり、サービスの機能変更を強制されたりするようになります。
また、同法はAmazon、Apple、Google、Meta、Microsoft、Snapchat、TikTokなどの巨大企業に対する牽制の意味もあり、EUは「欧州単一市場と世界の両方でイノベーション、成長、競争力を促進するための平等な競争条件を確立することを目的としている」と説明しています。
規制される企業たちは、同法に賛同
規制対象となる企業群は、本音はさておき、表面上では同法への賛同を示しています。
イギリスの元副首相で、現在はMeta社の国際問題担当社長を務めるニック・クレッグ氏は、「われわれはDSAの目的と、被害を最小限に抑えるヨーロッパの規制体制の創設を支持してきた」と表明。十代ユーザーへのターゲティング広告禁止をはじめとする青少年保護や、違法コンテンツの締め出しに尽力していることをアピールしました。
Appleは「違法で有害なコンテンツから消費者を保護するというAppleの目標と一致している」とDSAの目標に賛同しつつ、「ユーザーのプライバシーとセキュリティを確保しながら DSAの要件を実装するよう取り組んでいる」と自社の取り組みを説明。
Googleの広報担当者も「欧州のユーザー、クリエイター、企業がWebの恩恵を確実に享受できるようにしながら、インターネットの安全性、透明性、説明責任をさらに高めるというDSAの目標を我々は共有している」と述べました。
EUにおけるデジタルサービスの勢力図にも影響を与えうる同法だけに、各社の対応に注目が集まります。
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