
【この記事のポイント(Insights)】
- ブラックロックとブラックストーンは同じ起源を持ちながら異なる成長戦略を歩んできた
- ブラックストーンは不動産戦略を軸にオルタナティブ投資で世界最大級に成長した
- 2025年のCEO交代は資産拡大から投資家基盤強化へのシフトを象徴している
世界最大級のオルタナティブ投資会社、ブラックストーン。いまや不動産投資の代名詞とも言える存在ですが、その歩みを紐解くと、同じ起源を持つ「ブラックロック」との分岐点や、直近のCEO交代に象徴される変化が見えてきます。本記事では、両社の出自の違い、ブラックストーンを押し上げた不動産戦略、そして新CEO就任の意味を解説します。
ブラックストーンとブラックロック。紛らわしい名前の両者の出自と現在。
日本の経済ニュースでもしばしば登場するブラックストーン社とブラックロック社。「黒い石」と「黒い岩」、よく似た名前に混乱している方もいるのではないでしょうか? 実はブラックロックは、ブラックストーンからスピンアウトした企業です。
1980年代、ブラックストーンの社内に設けられた債券運用部門が、のちに独立して「ブラックロック」となりました。1990年代半ばに完全に切り離され、それぞれが異なる進路を歩むことになります。
ブラックロックは、株式や債券を対象としたインデックス運用とETFを成長エンジンに据え、現在では運用資産総額10兆ドルを超える世界最大の資産運用会社です。一方のブラックストーンは、プライベート・エクイティ(PE)と不動産を中核とするオルタナティブ投資に特化し、総運用資産1兆ドル規模へと拡大しました。
元は一部門に過ぎなかったブラックロックが今や世界最大かつ幅広い投資商品を扱う会社となり、母体であったブラックストーンが領域を絞って事業展開しているのは興味深い展開です。両社の分岐は、どの資産クラスを成長ドライバーに選んだかという経営判断に起因します。ブラックロックは「市場全体を広く安定的に取り込む」道を選び、ブラックストーンは「機会を見極め、リスクを取って高いリターンを狙う」道を選んだと言えるでしょう。
ブラックストーンを現在の地位に押し上げた不動産戦略
ブラックストーンが不動産投資に本格的に乗り出したのは1991年。不動産プライベートエクイティ部門を設立し、当時のS&L(貯蓄貸付組合)危機で割安となった資産を積極的に取得しました。これが同社の不動産投資の起点です。
その後も象徴的なディールを重ねます。2007年のヒルトン・ホテルズ買収は約260億ドルという巨額案件で、金融危機を経ても最終的には巨額の利益を生み出しました。リーマンショック後には大量の差し押さえ住宅を取得し、Invitation Homesを通じて全米で戸建賃貸事業を展開。市場が逆風のときこそ果敢に動く姿勢が際立ちます。
2017年には個人投資家向けに「BREIT(Blackstone Real Estate Income Trust)」を立ち上げました。これは非上場型のREITで、富裕層やリテール資金を呼び込み、ブラックストーンの新たな成長ドライバーとなりました。いまやBREITは数十兆円規模に拡大し、同社の収益基盤を支える存在となっています。
さらに近年は物流施設、データセンター、住宅、ライフサイエンス関連施設といった「社会インフラ型不動産」への投資を強化しています。これらは景気循環に左右されにくく、長期的な需要が見込める分野です。
不動産は単なる投資対象を超えて、ブラックストーンを世界最大のオルタナティブ投資会社へと押し上げた中核的な資産クラスとなっています。
2025年9月のCEO交代は、さらなる拡大の狼煙となるか。
2025年9月、ブラックストーンの不動産部門に大きな転機が訪れています。長年同部門を率い、「Core+戦略」やBREITの拡大を担ったウェスリー・ルパトナー氏が急逝。その後任として、ケイティ・キーナン氏が新CEOに就任しました。
ルパトナー氏は内部統括と運用管理に強みを持ち、不動産部門の基盤を固めた存在でした。一方でキーナン氏は投資家対応や資金調達に強く、外部とのコミュニケーションに長けています。この違いは、部門の成長ステージの変化を映し出していると見ることができます。
すなわち、資産規模の拡大フェーズから、投資家基盤のさらなる拡充フェーズへのシフトです。ブラックストーンにとって不動産部門はもはや「収益の柱」であり、投資家との信頼関係をいかに広げ深めるかが今後の成長を左右します。キーナン氏の登板は、その方向性を明確に示すものだと言えるでしょう。
ブラックストーンとブラックロックは、同じ出自を持ちながら全く異なる道を選び、それぞれに巨大な存在へと成長しました。不動産はブラックストーンの象徴的な資産クラスとなり、BREITや物流施設・データセンター投資は今後も同社の中核を担い続けると見られます。世界の資本市場において、不動産投資の重要性はますます高まっています。その最前線に立つブラックストーンの動向は、今後も注視すべきテーマとなるでしょう。
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