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第8回 某紙が予想する「アメリカ不動産の値崩れ」が的外れな理由【米国不動産のプロが解説】

アメリカの住宅市場に悲観的な報道が目立つが……

8月中旬以降、某経済紙が「米住宅市場が不況水準」「米住宅価格の上昇圧力が急低下」などなど、アメリカ不動産の不調ぶりを立て続けに報じました。同紙は以前から、アメリカ不動産市場はバブルに陥っているという論調を取ってきただけに、自説を裏付けるようなデータが出てきたことに勢いづいているのでしょうか。いずれの記事も、アメリカ不動産の未来に対してずいぶん悲観的です。一応は米金融機関の専門家の言葉を引用する形を取っていますが、「住宅投資が減少する」「住宅価格はいずれ下落に転じる」と断じています。

たしかに現在の米国不動産市場では、高水準のインフレが継続していることや、住宅ローン金利上昇によって売買件数が下落しています。超低金利の恩恵で絶好調だった2021年の揺り戻しの側面もあるのでしょう。しかし、だからといってそれが住宅価格の下落に直結すると結論付けるのはあまりに短絡的です。なぜなら、住宅価格を上昇させるのは、「購入」に対する需要だけではないからです。

家賃収入が増えているなか、住宅オーナーが物件を安く手放す理由がない

「購入」需要以外で住宅価格を上昇させる要因、それは「賃貸」需要です。アメリカでは物価が上昇すると、素直に家賃も上昇します。その賃料が上昇している局面では、購入需要が乏しかろうと、収益還元法を重んじる住宅価格査定から算出された住宅価格は上昇します。アメリカでは土地神話という言葉はありませんから、賃貸用の住宅価格は収益還元法、つまり投資利回りを拠り所として価格査定されるためです。住宅オーナーとしては買い手が付かないからといって、収益がしっかり出ている物件を安値で手放す理由がありません。収益に見合う価格で買ってくれる買い手が出てくるまでは、自分で運用するだけの話です。購入需要の減少は流動性低下の理由にはなっても、価格下落の理由にはならないのです。

さてここで、現在のアメリカの賃貸需要について考えてみましょう。住宅価格の高騰により購入を諦めた人にも、やはり住む場所は必要です。そうした人々の選択肢は賃貸しかありません。加えて、前述の通りアメリカでは空前のインフレが続いています。これは明らかに、家賃上昇局面です。事実、不動産調査会社のレポートや、Redfin等の賃貸メディアの統計を見ても、この数十年で最速ペースで家賃水準が上昇しています。具体的には、都市部では軒並み2桁以上の上昇し、ニューヨークのブルックリンに至っては昨年同月比で40%以上もの高騰を記録しています。

100006-135-2ニューヨーク州の家賃中央値:1ベッドルーム 出典:Zumber

100006-135-3ニューヨーク州の家賃中央値:2ベッドルーム 出典:Zumber

家賃規制は住宅価格を下落させるか?

もちろん、家賃の高騰が際限無く続くわけではありません。この状況を放置すれば、低所得層を中心に、住居を失う人が大勢出てきてしまいます。ホームレスの増加は人道的にも、経済や治安への影響の面でも好ましくありませんから、行政も対処するはずです。実際、バイデン政権はレントコントロール(家賃上げに対する規制)を具体的に検討を始めています。

レントコントロールが実施されると、賃料の値上げ幅に上限が設けられます。オーナーは自由に値上げができなくなるため、投資物件としての利回り向上のペースが鈍ると予想されます。一方で、レントコントロールをすでに行っているロサンゼルス等では、上限のギリギリまで値上げするのが当たり前の状況が続いています。短期間に爆発的な値上げをすることはできなくなるものの、今度は逆に長期的に亘って右肩上がりのインカムが期待できるようになるわけです。投資商品としてはむしろリスクが減ったと歓迎する投資家もいるかもしれません。

こうした状況を踏まえると、住宅価格が近い将来に大きく値崩れするとは考えにくいと私は考えます。たしかに、コロナ移住で住宅価格高騰が過熱していたフロリダ州など、注意の必要なエリアも一部あります。しかしそれ以外の地域ではむしろ、これまでほどの速度ではないにせよ、中長期的に安定成長をしていくという見方のほうが自然ではないでしょうか?

 


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