賢人たちを賢人たらしめている行動や考え方は。そして、大切にしている習慣は──。
インタビューを通じて、そんな共通点を探っていきます
編集者としての恍惚と恐怖
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鎌田 -
私は漫画をあまり読まないんですが、佐渡島さんはそんな私でも知っている作品を多数手がけていらっしゃいます。いつから編集の仕事を志望されるようになったんですか？
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佐渡島 -
小学生の頃から文学が好きで、遠藤周作や村上春樹などをよく読んでいました。それがきっかけでいずれ小説や漫画など、フィクションの編集をしたいと考えるようになったんです。
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鎌田 -
灘校から東大へ進まれましたが、文学部は珍しかったのでは。
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佐渡島 -
ええ。1学年に1人か2人でしたね。ただ私は文学部以外考えていませんでした。
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鎌田 -
東大卒業後は講談社に入社され、「週刊モーニング」の配属となりましたね。
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佐渡島 -
いきなり『バガボンド』を担当しました。大好きな作品でしたから、本当に幸せでした。好きな漫画作品の作者なんて普通だったら一生に一度会えるかどうかじゃないですか。それが編集者なら毎週会って一緒にストーリーを考えて、下描きも見られる。それどころか自分のアイデアが作品に取り入れられることもあるんですよ。入社してそんな生活が始まったわけで、楽しくてしょうがなかった。
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鎌田 -
でも新入社員でしょ？ いきなり看板作品の担当にするなんて、講談社はそういう文化だったんですか。
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佐渡島 -
新入社員はエース作品を担当するというのが伝統だったんです。
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鎌田 -
恵まれた環境でしたね。それなら仕事が楽しくて仕方ないわけだ。でも『バガボンド』の原作は宮本武蔵ですから、ストーリーは決まっているでしょ。
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佐渡島 -
それがそうじゃないんです。原稿が上がって校了したら、作家のところに集まって次号はどうするか、何時間も話し合うんです。これはどんな人気作品でも同じで、もうギリギリの状況で進めています。
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鎌田 -
子供の頃、好きな漫画が「今週はお休みです」ということが時々ありました。
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佐渡島 -
ギリギリすぎて、結局落としちゃったんでしょう。連載作品を担当する編集者のドキドキやストレスはハンパないですよ。
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