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北部カリフォルニアの一部で住宅価格が崩壊。パンデミック下の高騰がほぼ帳消しの都市も。

【この記事のポイント(Insights)】

  • サンフランシスコではパンデミック期に急騰した住宅価格がピーク時の約210万ドルから2024年末に約113万ドルへ46~55%下落し、2019年末水準を下回った。
  • 米連邦準備制度の金利引き上げによる住宅ローン負担増と、テック業界の低迷による従業員の購買力低下により、高額住宅需要が低下、都市部で大幅な価格調整が進んだ。
  • 今後の市場予測は金利次第。一部は金利低下で回復を期待するが、リモートワーク定着やインフレ再燃の懸念から、地域ごとに変動する可能性が高い。

住宅価格の高騰が騒がれたカリフォルニア州で異変が起きています。北部の一部都市では、中古住宅市場が大幅に下落。中央値価格がピーク時から55%も値下がりした地域も存在します。

本記事では、カリフォルニア北部の中古住宅価格をパンデミック前後の状況から分析。住宅価格が急激に上昇した後、金利の上昇やテック業界の低迷など複数の要因が影響し、いかに価格が調整局面に入ったのかを解説します。都市単位での住宅価格の変動のサンプルを知ることは、他のエリアの住宅投資にも役立ちますので、ぜひお目通しください。

カリフォルニア北部の一部で住宅価格中央値が著しく低下。ピーク時から55%下落するエリアも。

パンデミック期の住宅価格の高騰率が全米のなかでも高水準だった北部カリフォルニア。代表的な都市の1つであるサンフランシスコでは2022年Q2に約210万ドル、オークランドでは2022年頃に約100万ドルに達したことが記録されています。しかし、その後の市場調整の中で、2024年末時点ではサンフランシスコの中央値が約113万ドル、オークランドが約55万ドルまで下落しました。

これは、サンフランシスコで約46%、オークランドで約55%もの大幅な下落が起こったことを意味します。パンデミック期に過熱状態となっていた市場が、金利上昇や需要減退、さらには移住需要の変化など複合的な要因により、かつての水準にまで戻ってしまった状況です。なお、これらの都市はパンデミック前の2019年末との比較でも、それぞれ-9%、-8%と、元の水準をも下回る市場になってしまいました。

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金利上昇とハイテク企業不振のダブルパンチで購買力と需要が低下

この価格暴落の要因はさまざま考えられますが、最も影響が大きいとみなされているのが、金利の上昇です。パンデミックが収束した後、米連邦準備制度によるインフレ対策としての金利引き上げが急速に進行し、住宅ローン金利が当初の低水準から大幅に上昇いたしました。これにより、特にサンフランシスコやオークランドなど高価格帯の都市においては、購入者の月々の返済負担が増し、住宅取得のハードルが大きく上がりました。

さらに、北部カリフォルニアはテック産業が経済の柱として位置づけられていますが、パンデミック後にハイテク企業の業績悪化や大規模な人員削減が相次いだことも、住宅需要に大きな影響を及ぼしました。テック業界に従事していた人々の一部は、収入減や雇用不安を背景に、従来住んでいた都市部から手頃な地域への移動を選択しました。追い打ちをかけるように、テスラやオラクルのように拠点を他州へと移転する企業が続出。都市中心部の需要が低下し、住宅価格の急落を招いたとされています。

これらの要因が重なり、特に高額な住宅を求める層にとっては金利上昇が直接的な購買力の低下をもたらし、結果としてサンフランシスコとオークランドではピーク時から大幅な下落が発生しました。

ズルズルと下がるか、踏みとどまるか。分かれる予想。

北部カリフォルニアの住宅市場の今後の展開については、専門家の間で意見が大きく分かれております。悲観的な見方をする人々は、リモートワーク定着による需要流出がすぐには戻らないこと、何よりインフレの再燃による金利の高止まりが予想されることを根拠に、今後もさらなる価格下落が続くのではと懸念しています。住宅ローン金利が下がらない限り、より手頃な価格で住宅に住み替えるために、郊外や他州への向かう人は今後も増えるでしょう。

一方で、ローン金利が下がることを期待し、楽観的な市場予測をする人々もいます。高所得層が特に多いサンノゼやサクラメントでは、住民の多くが高額のローン支払いに耐えられる経済力があるか、そもそもローンを組む必要がありません。結果、住宅価格が手頃な州へと流出する人が少なく、市場が底堅く推移しています。つまり、人口流出の原因の大部分は金利にあり、それさえ解消すれば需要は回復すると見ているわけです。

カリフォルニア北部と一言でいっても、その住宅市場動向は都市ごとに大きく異なっています。今後の市場展開は金利環境の改善や経済全体の回復、さらにはテック業界の動向にも大きく左右されると考えられます。専門家の見解は、悲観的なシナリオと楽観的なシナリオの両極端に分かれておりますが、現実には局地的な需要の回復や、供給面での調整が進む可能性もあるため、今後は慎重かつ多角的な視点で市場を観察することが求められます。

 

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