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フロリダ州で住宅在庫がパンデミック以前の水準を超える。供給回復は全米に及ぶか?

【この記事のポイント(Insights)】

  • 2025年2月のフロリダ州の住宅在庫は約168,700件に達し、前年同月比で約40%増加した。
  • フロリダ州は全米の住宅市場の先行指標とされており、今回の供給増加が全米市場の需給バランスに影響を与える可能性がある。
  • 金利上昇やロックイン効果で全米の供給は停滞しているが、フロリダ州では投資家の売却増、新築供給の回復で供給が先行して回復している。

フロリダ州の住宅市場に大きな変化が訪れています。2025年2月の住宅在庫は約168,700件に達し、前年同月比で約40%増加しました。この供給回復はパンデミック前の水準を超え、リーマン・ショック後の水準に匹敵します。在庫の急増はフロリダ州特有の要因によるものなのか、それとも全米市場の供給回復の前触れなのか。本記事では、フロリダ州の住宅在庫増加の背景を分析し、それが全米市場へ波及する可能性について検討します。

フロリダ州で住宅在庫が前年比約40%増を記録

フロリダ州の住宅在庫は2023年から増加基調にありましたが、連邦準備経済データ(FRED)によると2025年2月には前年比で約40%増となり、168,700件に達しました。これは、過去約10年で最高水準です。

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2017年からの推移を振り返ると、パンデミック前の2019年までは比較的安定していた在庫が、2020年以降の低金利環境と移住需要の急増により大幅に減少しました。しかし、2022年から徐々に回復し始め、2024年後半から供給増加のペースが加速しました。特にタンパ、マイアミ、オーランドなどの主要都市では販売物件の急増が確認されています。

フロリダ州不動産協会(Florida Realtors)によると、2025年1月時点で一戸建て住宅の在庫は前年同月比で+31.3%、コンドミニアム・タウンハウスは+39.3%増加しました(Florida Realtors, 2025年)。

この在庫増加により、住宅市場のバランスが変化しつつあります。供給が増えることで価格の上昇が抑えられ、買い手にとっては選択肢が広がる一方、売り手は以前よりも慎重な価格設定を迫られています。

全米住宅市場の先行指標とされてきたフロリダ州

フロリダ州は、過去の市場サイクルにおいて全米の住宅市場の先行指標とされてきました。特に2008年のリーマン・ショック時には、フロリダ州での住宅価格の急落と在庫の増加が全国的な市場崩壊の前兆となりました。

今回の供給増加も、全米市場における調整局面を示唆している可能性があります。実際、2024年末の全米住宅在庫は約847,800件で、前年同月比+20%増(FRED, 2025年)。フロリダ州の40%増に比べれば緩やかではあるものの、全米的にも供給が回復傾向にあります。

フロリダ州が全米市場のトレンドを先行する理由として、以下の要因が挙げられます。

  • 投資マネーの流入と流出:フロリダ州は不動産投資家にとって魅力的な市場であるため、投資家の売買動向が全米市場に影響を与えやすい。
  • 移住トレンドの変化:パンデミック中に急増した州外からの移住者が減少し、住宅需要のピークアウトが早く訪れた。
  • 新築供給の柔軟性:フロリダ州は他州に比べて新築住宅の供給が活発であり、需要減少に伴い供給が早期に増加する傾向がある。

過去と同様に、フロリダ州の供給増加が遅れて他州にも広がるなら、全米の住宅の需給バランスが大きく変わる可能性があります。

米国の住宅供給が停滞している要因

2022年から2023年にかけて、全米の住宅在庫は極端に不足しており、これが今日の住宅価格高騰を加速させてきました。在庫不足を招いた要因としてよく挙げられるのは、以下の4つです。

  • 住宅ローン金利の上昇:2022年以降、住宅ローン金利は3%台から7%台へ急上昇し、買い手の購買力が低下。これにより取引が減少し、住宅の流動性が低下しました(MBA, 2025年)。
  • ロックイン効果:多くの住宅所有者が低金利で借りたローンを手放したくないため、売却を控える傾向が強まりました。
  • 建築資材と人件費の高騰:ウッドショックや労働力不足により、新築住宅の供給が遅延し、在庫不足が継続しました。
  • ゾーニング規制と住宅開発の遅れ:多くの都市で新築許可が厳しく、新規供給が抑制されました。

2024年以降はこれらの要因が緩和されつつありますが、そのなかでもフロリダ州の供給が急増は別格です。

フロリダで供給量が回復した理由。このトレンドは全米に及ぶのか?

フロリダ州で住宅供給が回復した主な要因は以下の通りです。

  1. 投資家の売却増加:金利上昇により、低利回りとなった不動産を売却する投資家が増加。特に短期賃貸市場での利益が減少した物件が市場に流入。
  2. 新築供給の回復:建設コストの安定化により、2023年以降新築住宅の着工が増加。
  3. 住宅保険料の高騰:フロリダ州ではハリケーンなどの自然災害の影響で保険料が上昇し、一部の所有者が売却を決断。
  4. 移住トレンドの変化:パンデミック中に増加した州外からの移住者が減少し、需要が落ち着いた。

このトレンドが全米に波及するかどうかは、地域ごとの市場状況によります。他州にも供給が増えるには、金利の低下や建築コストの安定化が必要と考えられます。

すべての州で供給不足が解決すると安易に考えることは危険ですが、フロリダ州の事例を過小評価することも同様に危険です。今後の市場動向を注視する必要があります。

 

 

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