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アメリカの不動産売買手数料の水準が下がる? 売主VS不動産業者の裁判で、売主が勝利

【この記事のポイント(Insights)】

  • アメリカ・ミズーリ州で、不動産売買手数料に関する集団訴訟が決着。「不当に高い」とする原告の主張が認められる。
  • 取引をスムーズにするためには一定水準の手数料が必要であるとした被告の主張は受け入れられず。
  • アメリカ全土で類似の訴訟が進行中で、手数料水準が一気に引き下げられる可能性も。

不動産売買手数料が(概ね)固定なのは、独占禁止法違反

不動産売買の手数料をめぐってミズーリ州の住宅販売業者と売主グループが争っていた集団訴訟で、原告である売主が勝訴しました。代表原告であるSitzer氏とBurnett氏の名前を取ってSitzer/Burnett訴訟と呼ばれるこの訴訟は、アメリカの不動産ビジネスに多大な影響を及ぼしうるとして注目されています。

2023年10月31日、ミズーリ州カンザスシティの陪審団は、全米不動産業者協会(NAR)と同州の不動産事業者2社に対し、住宅仲介手数料を違法に操作したとして有罪判決を下しました。反トラスト法(独占禁止法)違反であると認められたため三倍賠償(損害額に対し最大3倍までの賠償が課される)が適応される可能性があります。実損害額は約17億8000万ドルですから、賠償金は最大で約53億6000万ドルにも上ります。

この判決に、同州のみならず全米の不動産エージェントは戦々恐々としています。というのも、争点となった仲介手数料について、被告企業は特別高い手数料を請求したわけではなく、アメリカでは標準的とされる5%から6%の範囲内で取引を行っていたからです。つまり、他のエージェントも同様の水準で取引してきており、過去の取引が賠償対象になったり、今後手数料の水準を引き下げる同業者が現れたりする可能性が出てきたのです。

原告/被告、それぞれの主張

Sitzer/Burnett訴訟の概要を改めて紹介します。

原告の主な主張

  • アメリカでは住宅売買の際、MLS(Multiple Listing Service:売り物件をリスト化し共有するデータベース)を用いるのが一般的だが、手数料が一定の率を下回る物件は掲載されないという暗黙のルールがある。
  • ルールを決めているNARと、手数料を得る不動産エージェントは利害が一致するため、共謀関係にある。
  • この仕組みにより、公平な競争が妨げられ、手数料が不当に高い水準(6%)に保たれている。
  • 手数料は本来、エージェントのキャリアや能力、売買に要した労力などを根拠に算出されてしかるべき料金だが、それらを考慮せず常に一定の率であることも価格の不透明性を示している。

被告の主な反論

  • エージェントに透明な報酬を保証することは、不動産市場への参加者を増やし取引をスムーズにするために重要である。
  • この仕組みによって、より幅広い買い手とのマッチング機会を提供できるため、売主にとっても有益である。
  • 売り手エージェントと買い手エージェントが、毎回イチから手数料の交渉をするのは非効率で現実的ではない。
  • 手数料率は常に交渉可能であり、決して固定ではない。

両者の主張に対し、陪審団は満場一致で原告を支持。被告が反競争的な共謀を行い、バイヤーエージェントの手数料を人為的に高く保っていたと判断しました。

同様の訴訟がアメリカ全土で進行中

同様の訴訟は、判決が出る以前から多数あります。例えばテキサス州でも、MLS掲載に関する慣行の不当性についてNARに対する訴訟が提起されています。この訴訟がSitzer/Burnett訴訟と異なるのは、代表原告が個人ではなく住宅建築業者のQJ Team LLCと持株会社のFive Points Holdingsである点です。不動産業界に根を張る企業による訴えだけに、判決の影響力はさらに大きくなりそうです。

その他、アメリカ全土で訴訟が増加しており、しばしばやり玉に挙げられるのが、NARの「クリア・コーポレーション・ポリシー」です。このポリシーでは、MLSに物件を掲載する利用者に対し、その物件の取引条件や諸情報を他の全ての利用者に公開することを課しており、不動産業者が掲載物件を販売する際の透明性を確保し、不公正な競争を防ぐことを目的にしています。しかし皮肉なことに、このポリシーこそが手数料を不当に高める元凶であるとみなされています。

「アメリカの不動産売買の手数料は5~6%」という目安も、これからの数年で一気に下がるかもしれません。

 

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