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アメリカ、政府機関の閉鎖をギリギリで回避

【この記事のポイント(Insights)】

  • 10月1日までに予算案が成立しなければ政府閉鎖という状況に追い込まれていたアメリカ
  • マッカーシー氏が民主党に歩み寄ったつなぎ予算案を提出、可決されたことで猶予期間が11月17日まで延長
  • 閉鎖危機回避の立役者マッカーシー氏は、ヒーローにはなるどころか両党から批判を浴びるはめに

あと数時間で政府閉鎖決定というところで、つなぎ予算案が成立

2023年9月30日、アメリカ上下院で10月1日からの「つなぎ予算案」が可決され、政府機関の閉鎖が回避されました。

この危機の背景には、民主党が多数を占める上院と、共和党が多数を占める下院の対立があります。インフラ整備や社会保障の充実など、手厚い支援を行おうとする民主党の歳出案に対し、共和党は大幅な規模削減を要求。また、人道支援に熱心な民主党に対し、共和党はウクライナ支援予算の凍結と国境警備の強化(移民排除)予算の強化を求めるなど、真反対の思想のもと行われる議論が合意に達することはありませんでした。

両党の議論は平行線のまま、政府閉鎖寸前まで追い込まれていましたが、30日深夜に下院議長であるマッカーシー氏が、民主党に歩み寄った法案を提出。歳出規模削減と国境警備予算の強化に関する要望を削った譲歩案が、民衆党から受け入れられ上下両院で可決、大統領署名まで一気に進み、危機を回避しました。

政府閉鎖の危機は継続。Xデーは11月17日に延長

ただし、可決されたつなぎ予算案は、あくまで暫定予算にすぎません。

そもそも、アメリカの政府機関の運営予算は、議会が提案し大統領が承認する12本の歳出法案によって確保されます。10月1日の会計年度開始までに、12本の歳出法案すべてが成立している必要があり、1本でも不足していれば政府は一切の支出ができなくなります。政府職員の多くが自宅待機になり、行政サービスが停止。軍、警察、司法など一部の必要不可欠な業務を担う職員は稼働しますが、歳出法案が成立するまでは無給という徹底ぶりです。

それでは政治はもちろん、経済や国民生活にまで大きな悪影響が及ぶため、回避策として生まれたのが、今回も利用されたつなぎ予算案です。正式には予算継続決議(CR)と呼ばれる暫定予算案が可決されることで、政府は当面の支出が可能になり、機能を維持できます。

暫定予算案には正式な歳出法案を成立させるまでの期限が設けられますが、今回の場合は約1ヶ月半後の11月17日がそのXデーです。12本の法案成立が必要ななか、現在の成立数はなんと0本。危機的状況を脱したとは言い難い状況です。

民主党・共和党の双方から批判を浴びるマッカーシー氏

加えて、つなぎ予算案に対しては、両党とも納得しているとは言い難い状況です。

マッカーシー氏は、共和党内をまとめ上げてつなぎ予算案を用意したわけではなく、独断に近い形で法案を提出。下院可決には議員の3分の2の支持が必要でしたが、共和党の議員だけに限れば支持率は60%を切っていました。可決ラインに届いたのは、民主党の下院議員の99%にあたる209名の支持があったためです。

こうした経緯もあり、共和党内ではマッカーシー氏を非難する声が多く上がっており、特に予算規模削減を強く訴えていた保守強硬派の中には彼を議長から引きずり降ろすつもりだと発言した人物もいます。

民主党としても、政府閉鎖を避けるために支持したものの、ウクライナへの支援予算が盛り込まれていないことをはじめ、不満の残る落とし所でした。バイデン大統領は5月時点でマッカーシー氏との間で歳出規模に関して大筋合意していたことを引き合いに出し、「このような事態になるべきではなかった」とコメントしています。

政府閉鎖を防ぐために奔走したにも関わらず、敵からも味方からも批判を浴びるマッカーシー氏。政治の世界とは難しいものですね。



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