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2024年米国大統領選を物語る5つのトピック

【この記事のポイント(Insights)】

  • 2024年大統領選は、結果のみならず、その過程でも米国政治を検証するうえで重要な出来事が多く発生した。
  • 「民主党候補交代」「トランプ氏の法的問題」「暗殺未遂事件」「激戦州の結果」「イーロン・マスク氏の資金投入」の5つのトピックを振り返る。
  • 総じて、民主主義を揺るがしうる出来事が頻発した選挙だったと言える。

1月の予備選以降、刻々と情勢が変化し、先が読めないと言われた2024年の米国大統領選挙。ドナルド・トランプ氏の圧勝という結果が多くの人々を驚かせましたが、それと同じくらいに注目を集めたのは、その過程で起こったいくつかの出来事です。本記事では、世間の関心を集めた5つのトピックを振り返ります。

1. バイデン大統領の再選出馬断念とカマラ・ハリス副大統領の指名

民主党陣営にとって最大のトピックは、なんと言ってもこの出来事でしょう。選挙まで4ヶ月を切った7月21日、ジョー・バイデン大統領が健康問題を理由に再選出馬を断念し、副大統領であるカマラ・ハリス氏が民主党の大統領候補に指名。これほどギリギリのタイミングでの候補交代は、米国政治史のなかでもはじめてのことです。

ハリス氏の出馬は、米国初の女性かつアジア系の大統領誕生かと大きな話題となりました。しかし、彼女の政策提案や演説は支持を集める一方で、トランプ氏の支持基盤に食い込むには至らず、選挙結果に影響を与えるまでには至りませんでした。

2. トランプ氏の法的問題

共和党候補であるトランプ氏は、4つの刑事訴追を受けており、法的問題を抱えた状態で選挙活動を続けるという前例のない状況に、国内外で賛否が巻き起こりました。1つ目は、2020年大統領選の結果を覆そうと議会の認証手続きを妨害した疑いで、2021年1月6日の議会襲撃事件に関連しています。2つ目は、ジョージア州務長官への圧力電話による選挙干渉疑惑で、州レベルでの起訴となりました。3つ目は、退任時に機密文書を不正に持ち出し、自宅で保管した件で、国家機密の安全性を巡る問題。4つ目は、2016年の選挙期間中に不倫相手への口止め料支払いを記録改ざんして隠蔽した選挙法違反疑惑です。

一部の批判者は、これを民主主義の危機と捉えましたが、多くの支持者にとっては、むしろ「反体制の象徴」として彼の支持を強化する結果となりました。この法的問題が選挙戦の注目点として、トランプ氏の戦略に新たな影響を与えたことは間違いありません。

3. トランプ氏への暗殺未遂事件

選挙期間中、トランプ氏を狙った複数の暗殺未遂事件が発生しました。2024年7月13日、ペンシルベニア州での選挙集会中に武装した男が銃撃を行い、聴衆1名が死亡、2名が負傷する事件が起きました。同年9月15日には、フロリダ州のトランプ・ナショナル・ゴルフクラブで武装した男がトランプ氏に接近を試み、シークレットサービスが発砲して阻止。この他にも、10月14日にはカリフォルニア州の集会会場近くで武装した容疑者が逮捕される事件が発生しました。

これらの事件は政治的暴力への懸念を高め、選挙戦の中でトランプ氏への注目を一層強める結果となりました。

4. 激戦州でのトランプ氏全勝

開票時にもっとも驚かれたのが、スイング・ステートと呼ばれる激戦州でトランプ氏が全勝したことです。ペンシルベニア、ミシガン、ウィスコンシン、ネバダ、アリゾナなどでの勝利は、トランプ氏の当選を決定づけました。

これらの州では、経済政策や移民政策が重要な争点となり、トランプ氏が「アメリカ・ファースト」のスローガンを強調したことが有権者に響いたとされています。この結果は、彼の戦略の効果を示すと同時に、民主党が取りこぼした票田の弱点を浮き彫りにしました。

5. イーロン・マスク氏らによる選挙資金の大規模な投入

盤外の出来事として注目されたのが、過去最高額とも言われる両陣営への選挙資金投入です。特に注目を集めたのが、イーロン・マスク氏が行った献金活動です。マスク氏は、彼が設立したスーパーPAC「アメリカPAC」を通じて、11月5日の投票日までの間、言論の自由と銃所持の権利を支持する嘆願書に署名した激戦州の有権者から毎日1人を抽選で選び、100万ドルを贈呈する計画を発表しました。

この取り組みは、選挙資金の使途として大きな議論を呼びました。

 

2024年の米国大統領選挙は、結果だけでなく、そのプロセスにおいても多くの議論を呼びました。トランプ氏の圧勝、ハリス氏の挑戦、そして様々な出来事は、現代の政治の在り方を写しているとして、専門家の分析の対象にもなっています。この選挙が示した教訓は、米国のみならず、民主主義の行方を考える上で重要な示唆を与えています。

 

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