Highlights
- アメリカ不動産における単位の基礎知識について解説
- 不動産物件でよく目にするスクエアフィート(sq/ft)は約0.0929030㎡
- 複雑な単位の背景にはヤード・ポンド法の成り立ちなども影響している
アメリカの不動産物件などを調べているとしばしば、ぶつかるのが“単位”の壁。日本とは違ってメートル法が浸透していないアメリカの単位表記に戸惑う人も多いのではないでしょうか? 今回はアメリカ不動産投資を行う際によく目にする“広さ”の単位「スクエアフィート(sq/ft、sq.ft、Sq Ft、ft²等と表記)」について基礎知識をご紹介します。
アメリカの不動産物件でよく目にする“スクエアフィート”
そもそもフィート(ft)とは、アメリカで一般的に用いられている長さの単位です。1ftはメートル法に換算すると0.3048m(約30.5cm)。そしてスクエアフィート(sq/ft)は、1フィート×1フィートの面積を表す単位のこと。平方メートルと同じ意味合いなので、日本では「平方フィート」と訳されることもあります。
1スクエアフィートを平方メートルに換算すると0.3048m×0.3048m=0.0929030㎡となります。逆に1㎡をスクエアフィートに換算すると約10.76sq/ftとなる計算です。
他に日本で土地や部屋の広さを表す“坪”や“畳”をフィート換算してみると、1坪は約35.58sq/ft、1畳(京間)は約19.63sq/ftとなる計算に。いずれの単位を用いる場合も、日本で用いる単位表記より数字が大きく見えてしまうため(例:30㎡は約322.81sq/ft)、第一印象でついつい広く感じてしまわないよう、慣れないうちは注意が必要です。
1sq/ft は1㎡のおおよそ10分の1弱ほどだと覚えておけば、感覚的に大きくズレることはないでしょう。
アメリカ以外で使用している国は少ないヤード・ポンド法
不動産投資からはやや離れた雑学的な知識にはなりますが、アメリカ独自のヤード・ポンド法についてもご紹介します。
フィートは、ヤード・ポンド法という単位系で用いられる単位ですが、実は現在、ヤード・ポンド法を用いている国はアメリカ以外にはミャンマーやリベリアといった一部の国のみ。その他の国ではほぼメートル法を使用しています。メートル法は日本人が慣れ親しんでいる単位系ですが、重さの単位であるグラムなどもここに含まれます。
メートル法の長さは、ミリメートル(=0.0001メートル)、キロメートル(=1,000メートル)など、メートルを基準に十進数で分かりやすく設定されているのに対し、ヤード法は少々複雑です。例えば、靴や洋服のサイズで時折耳にする“インチ”はフィートの12分の1の長さ。また“ヤード”はフィートの3倍の長さを表しており、飛行機などでおなじみの“マイル”という単位は1,760ヤードの長さを指します。
メートル法に比べて、単位の切り替わりも単位名も不規則なので日本人には頭が痛くなりそうですが、アメリカではこうした単位表記が普通に用いられているのです。
ヤード・ポンド法を使い続けることに実は合理性はなし?
アメリカ以外で使用している国は少ないヤード・ポンド法ですが、なぜアメリカは他国に合わせることなくヤード・ポンド法を使い続けているのでしょうか? そこには歴史的な背景も影響しているようです。
メートル法とヤード・ポンド法は18世紀末頃に、フランスとアメリカでほぼ同時期に制定されたとされています。
時期的にやや早く制定されたのがメートル法であり、1791年に地球の北極点から赤道までの子午線弧長の1,000万分の1の長さが「メートル」と定義されました。それを基準に各単位の定義も科学的な手法で決定されましたが、当時の米国大統領トーマス・ジェファーソンは、一足早く定められたメートル法について「既存の度量衡(メートル法)はしっかりした物であるが、その基準となる物がアメリカ合衆国の管理下にない(ことは好ましくない)」とし、アメリカ国内で慣用的に用いられていた単位系を整理してヤード・ポンド法が制定された背景があります。
かくして2つの単位系が生まれたのですが、一方は合理的な基準で定義されたメートル法。もう一方は、市民が慣例的に用いていたものをベースに制定したヤード・ポンド法ということで、当然、体系的な整理という意味ではメートル法に分がある形となりました。ただし、ジェファーソンは「十進法ベースのシステムを採用するのが適切」と考えていた記録も残っているようで、より整理された単位系を目指していたこともわかっています。
またアメリカでは、政府が「他国(フランス)の管理化にある単位を使うと不利を被る可能性がある」という判断から、メートル法の使用を推奨しなかった歴史的な事情もあります。こうしたさまざまな事情から、アメリカでは現在までヤード・ポンド法が使用され続けているのです
こうした歴史的な経緯などもおもしろいところではありますが、スクエフィートなどのアメリカならではの単位に慣れるためには、流し見でも良いので、とにかくたくさんの不動産物件に触れて、数字の感覚値を体に染み込ませることが重要です。アメリカ不動産投資を行う上で、慣れない単位への苦手意識は早めに克服しておくことが大切だと言えるでしょう。
オープンハウスグループでは東京・名古屋・大阪で、またオンラインで様々なセミナーを開催しております。
・ハワイ不動産
・アメリカ不動産
・国税OB税理士が語るセミナー
・法人の減価償却としてのアメリカ不動産など随時開催しております。
など随時開催しております。
日程・詳細はこちらから
関連記事
オープンハウスはなぜ“米国”不動産に取り組むのか(その1)
なぜ、こんなにも多くのお客様にご支持を頂いているのか(その1)