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トランプ氏が大統領に返り咲き。住宅不動産市場への影響は?

【この記事のポイント(Insights)】

  • トランプ氏の大統領選勝利後、各種市場は早くも反応し、「トランプトレード」が行われている。
  • 住宅市場はすぐには動かないものの、移民政策や開発規制、金利などへのテコ入れの影響を受ける可能性が高い。
  • なかでも移民規制は、需要減と供給減(労働力減)を同時にもたらし、住宅価格にどのような影響を及ぼすか注目が集まる。

2024年11月5日、米国大統領選の投票が行われ、翌6日にトランプ氏の勝利が確定しました。前回2020年の投票では勝敗が決するまでに4日もかかったことと比較し、あまりに早い決着に驚きの声が挙がっています。しかし、驚いてばかりはいられません。各種市場は、大統領選結果を踏まえて早くも動き始めているからです。比較的ボラティリティーが低い不動産市場に影響が及ぶまでには、少しタイムラグがあると考えられますが、無風ということはありません。そこで今回は、政権交代が住宅市場にどのように影響し得るのか、主流派のシナリオを解説します。

不動産以外の市場ではすでに発生している「トランプトレード」

トランプ氏の勝利が確定した直後から、債権、為替、株式市場では大きな動きが見られています。特に債権利回りの上昇やドルの急騰、エネルギー関連株の上昇など、いわゆる「トランプトレード」と呼ばれる現象がすでに始まっているようです。これらの動きは投資家心理や金利動向に影響を与えるため、住宅市場にも間接的に波及する可能性があります。例えば、ドル高は海外からの投資を難しくし、金利の上昇は借入コストを押し上げる可能性があるため、住宅の購入意欲に影響を与えるでしょう。
加えて、より住宅市場への影響度の高い、以下のような動きが予測できます。

住宅市場への影響.1「移民」

トランプ氏は移民規制に対して強硬な姿勢を取ることで知られており、再選後に規制を強化する可能性が極めて高いと考えられます。移民は都市部の住宅需要を支える重要な要素であり、移民の受け入れ制限が強化されれば、特に賃貸市場において需要の低下が見られる可能性があります。
一方で、移民規制により労働力不足が進行することで、建設業界における人件費の上昇や工期の遅れといった影響も懸念されます。このように、移民規制は需要と供給の両方を減らす要因ですが、どちらの影響が強いかはエリアや価格帯によって複雑に変わると考えられます。

住宅市場への影響.2「規制」

トランプ氏は前回の政権時に、開発に対する規制緩和を進めることで住宅供給を増やそうとしました。また、環境規制については緩和的な考え方を持っています。
大統領就任後もこの方針を維持するとすれば、住宅開発プロジェクトが促進されるでしょう。住宅供給の増加が見込まれ、特に都市部周辺での新築住宅供給が活発化するかもしれません。ただし、開発は労働力があってこそ進行します。上述の移民規制による労働力不足が深刻化すると、新規の開発どころではなくなる可能性もあります。

住宅市場への影響.3「金利上昇」

トランプ氏は元来利下げに対して積極的な姿勢で知られますが、今回の選挙の争点としていた輸入関税引き上げや移民排斥は、いずれもインフレ要因です。直近下がりつつあったインフレ率が、政権交代を機に再燃するのではと懸念されており、その場合は利上げもあり得ます。
金利が上昇すると、住宅ローン金利も上昇し、住宅購入のハードルが上がります。特に初めての住宅購入者やローンに依存している層にとっては、金利上昇が購入意欲の減退に直結する可能性があります。

トランプ氏の大統領再選により、住宅市場には複数の影響が予想されます。金利の上昇、規制緩和による住宅供給の拡大、そして移民規制による住宅需要の減少といった要素が絡み合い、市場の先行きを左右することになるでしょう。投資家としては、これらの変化に迅速に対応し、最適なタイミングでの投資判断が求められます。特に金利動向には注意を払いながら、長期的な視点での投資戦略を練ることが重要です。

 

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