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バリュー投資としての米国不動産

バークシャー・ハサウェイが不動産関連株に投資

米国株が最高値を付けるなかで、高値警戒感を指摘する声も増えてきた。そのなかで、バークシャー・ハサウェイが不動産関連株式を新規購入したことが明らかになったことが話題となっている。大手機関投資家は米国証券取引委員会(SEC)に四半期ごとに株式保有状況を提出している(フォーム13F)。これによると、バークシャー・ハサウェイが2025年第1四半期に住宅建設会社のDRホートンとレナー、そして鉄鋼メーカーのニューコアに投資を開始したことが明らかになった。

バークシャー・ハサウェイを率いるウォーレン・バフェット氏の投資動向は、株式市場に影響を与えてきた。日本でも2019年に大手商社株に投資して、その後の株高に繋がったことは記憶に新しい。

ウォーレン・バフェット氏の投資の先見性や哲学は大きな尊敬を集めてきた。基本的なスタイルは、価値に基づく長期投資であり、企業の本質的な価値を見極めて適正価格で購入し、長期的に保有するというものである。金融株やIT関連株を売却する一方で、不動産関連株、ヘルスケア、セキュリティ関連株を購入する動きは、FRBの利下げ再開による長期的な投資の局面転換への対応を始めたものと考えられるだろう。

 

図表1:バークシャー・ハサウェイの新規購入・完全売却銘柄

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出所:米国証券取引委員会、FactSet、Valuesider

バークシャー・ハサウェイは保守的な集中投資に特徴がある。アップル株は断続的に売却しているものの、現在でもポートフォリオの約22%を占めている。そして、保有銘柄上位10社で全体の87%を占めている。その銘柄は優良企業ばかりであり、割安さよりも企業の質を重視する点でバリュー投資を進化させた投資スタイルである。

そのような投資スクリーニングを不動産関連銘柄がクリアしたことは注目に値する。バークシャー・ハサウェイは、2000年代初頭から不動産仲介業に参入しており、傘下にバークシャー・ハサウェイ・ホームサービスを持っている。ウォーレン・バフェット氏は、人々が一生に何度も経験する大きな取引として住宅売買に注目しており、安定した収益源として不動産仲介業を事業ポートフォリオに加える判断をした。今回の不動産関連銘柄への投資は、これまでの事業経験を踏まえた不動産業界への深い知見からの判断だったと思われる。

 

図表2:バークシャー・ハサウェイの保有株式トップ10(構成比)
注:2025年6月末

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出所:米国証券取引委員会、FactSet、Valuesider

過去20年のバークシャー・ハサウェイ株の投資パフォーマンスをみると、S&P500を大きく凌駕しており、長期投資の実績が株価にも反映していることが読み取れる。その一方で、過去1年で見ると、バークシャー・ハサウェイ株はS&P500の投資パフォーマンスを下回っている。これは、米国株式市場を牽引するNVIDIAに代表される生成AI関連銘柄への投資割合が小さいことと、将来の投資に向けて待機資金を増やしてきたことが影響している。

 

図表3:バークシャー・ハサウェイの株価とパフォーマンス

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期間別トータルリターン(%)

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出所:FactSet

FRBの利下げが長期投資へのインセンティブ

ウォーレン・バフェット氏は、グレッグ・アベル副会長を後任として、自らは2025年末でCEOを退任することを明らかにしている。バークシャー・ハサウェイが長期投資を減らして、待機資金を増やしてきたことは、CEO交代を控えたポジション調整という面もあったと思われる。しかし、そのような投資判断が可能となったのは、米国の短期金利がインフレ率を上回る水準にあったことが大きい。投資の第一原則は元本保全であり、リスクを取る前に、損失を避ける戦略を最優先とする、ウォーレン・バフェット氏の投資哲学からすれば、短期投資は積極的な投資だったといえる。

しかし、FRBの利下げ再開の可能性が高まるなか、短期投資の収益率は大きく低下するだろう。待機資金を長期投資に振りかえる動きは、今後、一方強まることが見込まれる。それはバークシャー・ハサウェイだけでなく、相応の数の投資家が同様の動きをとるだろう。

 

図表4:バークシャー・ハサウェイの投資項目

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出所:FactSet

現在、米国株式市場はIT関連銘柄が牽引する形で上昇基調を続けている。その結果、IT関連銘柄の割高感に対する警戒感も生じている。フィラデルフィア半導体株(SOX)指数のPERは45倍程度と、歴史的な高水準に位置するだけでなく、米国株式市場全体の動きを示すS&P500のPERとの差は、益々大きくなっている。

 

図表5:S&P500とフィラデルフィア半導体株(SOX)指数のPER

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出所:FactSet

しかしながら、生成AIが普及するにつれて、その活用に対する課題も浮き彫りになっている。MITの研究結果によると、米国全体では生成AIの利用が雇用を奪う現象は、現時点では一部に限られている。そして、米国企業はAIの導入に極めて積極的であるが、事業変革に結びついていないことが明らかとなった。

生成AIは労働生産性を高めるといわれるものの、労働生産性はこれまでの上昇トレンドを上方シフトさせたとは言い難い。株式市場は将来の期待を織り込むとはいえ、生成AIによる事業及び社会変革が明らかになるのは、市場参加者が予想するよりも先のことになる可能性が高まっている。その点からすれば、現状はITバブル2.0といえる状況である。

ウォーレン・バフェット氏が語るように、「価格はあなたが払うもの。価値はあなたが得るもの」である。目先の価格に惑わされず、企業の本質的価値を見極めることが重要である。その点で、価格変動が比較的小さい不動産等の実物資産への投資は、引き続き有効な選択肢となる。

 

図表6:企業における生成AIに関する5つの神話

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出所:MIT NANDA “The GenAI Divide STATE OF AI IN BUSINESS 2025”

 

執筆日:2025.8.28

※この記事は、執筆日時点の情報を基に作成しています。最新状況につきましては、スタッフまでお問い合わせください。

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