今週はジョージア州におけるマスク論争についてお届けします。
ここ最近、ジョージア州での話題は、なんといってもジョージア州のケンプ知事とアトランタ市のボトムズ市長との間で繰り広げられるマスク着用を巡る応酬です。
ジョージア州政府は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、マスク着用を推奨。その一方で、ジョージア州最大都市であり州都でもあるアトランタでは独自の条例によってにマスク着用を義務化しています。つまり、州政府と市側の方針に相違が生じていました。
こうした状況を受け、さる7月15日、ジョージア州のケンプ知事は、州内の各自治体が発令したマスク着用を義務づける条例を無効とする行政命令に署名しました。
さらに驚くべきはその翌日です。
マスクを着用しなかった場合、罰金や禁錮刑が課せられるアトランタ市に対して、「知事令を超える制限を設けることは越権行為だ」とし、ケンプ知事側は条例差し止めを求めてアトランタ市長であるボトムズ氏を提訴しました。
こうしたあからさまな対立には、ケンプ知事とボトムズ市長の根本的な政治的背景の違いがあります。ケンプ知事は共和党。一方でボトムズ市長は民主党です。共和党選出のトランプ大統領がマスク着用に消極的なのは日本でも報道されている通り。このためか、ジョージア州を含む共和党知事州は、全般的にマスク着用義務化には消極的です。
一方、アトランタのボトムズ市長は、11月の大統領選において民主党副大統領候補として名前が上がるほどの、バリバリの民主党所属者。こうしたねじれ現象が今回の論争の火種となっているようです。
しかし今回の政争においては、ボトムズ氏側を指示する声が優勢といえそうです。
アーカンソー州やオハイオ州など、共和党知事州でありながら、マスク着用の義務化に踏み切る州が続出する中、マスク着用に反旗を翻したケンプ知事への批判が集中しています。7月27日に予定されていた訴訟に関する会見を急遽中止するなど、ケンプ知事側は対応に追われています。
新型コロナウイルスの感染拡大に端を発したマスクを巡る政治論争。大統領選挙まで長引く可能性もありそうです。
以上、田力優がお伝えいたしました。
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