賢人を賢人たらしめている行動や考え方は。そして大切にしている習慣は──。
インタビューを通じて、そんな共通点を探っていきます。
親方のスパイダーチャートですが、やはり「家族」が大切だと。
孫が5人いて、妹も弟もいて、85歳の母親も元気で車の運転をしています。やっぱり家族は自分の一番の支えだなと思います。
次が「健康」です。
昔は病院なんて行ったことがなかったんですが、50歳頃から腰痛になったり、膝が悪くなったりと、あちこちに故障が出てきました。足腰はもともと強くて、現役時代は弓なりにぎゅーっと反っても竹のように戻ってましたから、まさか自分がこんなふうになるとは思ってなかったです。
「交友」についてはいかがですが。
こういう世界にいるといろんな出会いや別れがありまして、寄ってくる人の中には悪い人もいました。だから人を信じることは大切ですが、信じすぎると落とし穴にはまることもあると学びました。人間というのは欲の塊なので、気を付けなさいという自戒を込めてこの点数にしました。
「仕事」は3です。
仕事があって生活が成り立っていますから、一生懸命やるのは当然です。『負けるも勝ち 相撲とは-人生とは』という本を書いたんですが、たとえ土俵の上で負けたって人生が終わるわけじゃないし、最後に勝ったと思えればいいじゃないかと考えています。
そして「趣味」ですが、親方は大の甘党らしいですね。
ええ、“スイーツ親方”と呼ばれています。『第62代横綱大乃国の全国スイーツ巡業』という本も2巻まで出しました。きっかけは、引退した頃に洋菓子を作るテレビ番組に主演したことでした。我々は相撲の巡業で全国津々浦々訪ねていく中で、いろんな方から美味しい手土産をいただくわけです。だから北海道ならあれが美味しい、東京ならこれという具合に紹介する本を出したんです。それが予想以上に売れ、「親方がスイーツの本を出した」とバラエティ番組や女性雑誌にも出るようになりました。
それで“スイーツ親方”として人気が出たと。
商標登録も取りましたよ。私は北海道の十勝の農家の出身で、牛も飼っていました。私の体験も交えて十勝の素晴らしさを伝えられたという思いで、“スイーツ親方”を名乗らせてもらっています。
ありがとうございます。では最後に親方の習慣ですが、「神棚への挨拶（毎日）」とお書きいただきました。
神事に携わっているわけですから、一日の始まりに「よろしくお願いします」と挨拶しています。自分のことではなくて、家族や弟子が怪我や病気、事故に遭うことなく平穏に過ごせますようにと。これは自分自身に対して今日も気合いを入れていくぞと引き締める狙いもあります。
やはり気合いは大切ですか。
現役時代も15日間100%で過ごすなんて無理でした。ただ、ここぞというときには適度な緊張感が絶対に必要で、それで相手に圧をかけていきます。商談でも「今日はうまく行きそうだ」と感じることがあると思うんですが、それは体に気が漲っているからなんです。気合いを入れて、自分をかき立てることはとても大切です。
※この対談は2023年5月30日に弊社「GINZA XI」ラウンジ（東京・銀座）にて行われました。
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