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怒らない人が最後に勝つ。馬渕 磨理子氏(日本金融経済研究所代表理事/経済アナリスト)(第1回)

作成者: Discovery~賢者の習慣~ 編集部|2023.08.03

賢人を賢人たらしめている行動や考え方は。そして大切にしている習慣は──。
インタビューを通じて、そんな共通点を探っていきます。

崖っぷちの思いでトレーダーに

鎌田

小学校の頃から京都大学を目指していらっしゃったそうですね。

馬渕

ええ、小学校4年生から受験勉強を始めたとき、既に京都大学に行こうと決めていました。決して裕福な家ではなかったものの、共働きの両親が稼いだお金はほとんど教育のために使ってくれたと思います。

鎌田

なぜ京都大学を。

馬渕

7つ年上の姉が大阪大学に通っていて、その姉に勝ちたいという気持ちでした。姉とはいろいろと比べられていたし。ただ受験には失敗してしまい、諦めきれずに別の大学を卒業した後に改めて京都大学大学院の公共政策連携研究部へ進学しました。

鎌田

行政官を目指していらっしゃったのですか。

馬渕

小学生の頃、道でホームレスの方々を見かけて、こういう人たちを救うのが国の役目だと思ったんです。それが出発点ですね。だから最初は厚労省や文科省といったセーフティネット側の省庁に興味があったのですが、次第に経済に近い経産省や金融庁に関心を持つように変わっていきました。

鎌田

ところが就職はうまくいかなかったそうですね。

馬渕

官僚の試験は落ちてしまい、民間に切り替えてもうまくいきませんでした。それで気づいたのが、受験勉強ばかりやってきたおかげで、自分は中身の空っぽな人間になってしまったということでした。そんな人間が企業に採用されるわけがありません。何のために17年間も受験勉強をしたんだろうと、ずいぶん落ち込みました。

鎌田

そんなときにある医療法人の方から声がかかり、その法人に入られました。

馬渕

大きな医療法人でした。そこで言われたのが、30歳手前で今の状態では厳しいから、会計の資格を取って専門性を身につけるか、実践の場で資産運用の経験を積むか、どちらかしかないでしょう、ということでした。私は、今さら勉強なんてという思いもあり、資産運用をやらせてほしいとお願いしました。

鎌田

その医療法人の資産運用を?

馬渕

ええ、お金を預からせてもらってトレーダーとして運用を行いました。私としては人生崖っぷちというぐらい切羽詰まっていたので、一から勉強させてもらうつもりで、その仕事に挑戦しました。

鎌田

成果はいかがでしたか。

馬渕

2年半で3倍にはできました。

鎌田

3倍ですか。それは素晴らしい。

馬渕

ただ医療法人側からしたら、10倍ぐらいにしてほしかったようなんです。報告に行っても「なぜここで勝負しないんだ」などと言われるし、結局私は勝負には向いてないと判断し、分析の道へ進むことにしました。それでアナリストを目指したわけです。

※この対談は2023年6月13日に弊社「GINZA XI」ラウンジ(東京・銀座)にて行われました。

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