賢人を賢人たらしめている行動や考え方は。そして大切にしている習慣は──。
インタビューを通じて、そんな共通点を探っていきます。
さて、五十嵐さんのスパイダーチャートですが、珍しいシェイプとなりました。
偏りがありますね。
「仕事」が5というのは、聞くまでもないですが。
先ほど申し上げたような家庭環境でしたので、父の姿を家で見たことはほとんどなかったです。私もその父と同じで、ピーク時は1年に364.5日働いてしました。40歳で子どもが生まれてからは、だいぶ家庭にウエイトを置くようになりましたが。
なるほど。それでも「家族」は2なんですね。
男の子ですから、親はいなくても勝手に育つだろうと。
「交友」は5です。
高校時代からの仲のいい友人もたくさんいますし、お客様ともすぐに仲よくなっちゃうんですよ。「お前の会社に入れてくれ」と言って社員になってくれたお客様もいますし、一緒にキャンプに行くお客様もいます。お客様から始まった関係が友達に広がっていっちゃうことが多いですね。
「趣味」は1。
本当はゴルフと書きたいんですが、全然上手くなくて。
「健康」が2なのは、医者いらずということですか。
健康優良児で、サボり以外で学校を休んだことはなかったです。風邪もひかないし、スポーツ以外で怪我をしたこともありません。
健康はすべての基本ですから、素晴らしいことだと思います。
今ちょうど50歳で、60歳で引退するとなるとあと10年しかないからフルスイングしなきゃと思ってます。これからますます仕事に没頭するようになるでしょうね。もっとも実際は引退しないで、いくつになっても何らかの仕事はしていると思います。駄菓子屋かもしれないし。
さすが、商売人のご一族育ちですね。さて最後に五十嵐さんにお書きいただいた、大切にしている習慣が「五感で感じる」です。
例えば朝出社して最初にするのが会社中を歩くことなんです。すると荒れているチームの周辺は雑然としていて、すさんだ空気が漂っています。このチームにはきっと何か問題が起きているんだなと思いますよ。街でも同じですけど、危険なエリアってやっぱり空気が違うじゃないですか。言葉にはできない、そうした違和感をキャッチすることが経営には大切だと思っています。
なるほど、人の言葉じゃなくて、自分で感じたことを信じると。
人の成長も、対人関係の曖昧な情報から何かを感じ取ることから始まると思うんです。その意味ではコロナ禍でのリモートワークは、人材育成の力を弱くしたのではないでしょうか。人材育成についてはやはり隣に座って教えていくというカルチャーをつくっていかなくてはと考えています。
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