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医師として、経営者として、そして父として。(ゲスト 深川 和己氏:第2回)

作成者: Discovery~賢者の習慣~ 編集部|2022.12.15

賢人たちを賢人たらしめている行動や考え方は。そして、大切にしている習慣は──。
インタビューを通じて、そんな共通点を探っていきます

あえて選んだ、二足のわらじ

鎌田

一方、株式会社フカガワの経営者としてビジネスの世界に飛び込んだきっかけは。

深川

医者として9年ほど働いた頃、実家の父に家まで呼ばれたんです。それで「お前はいつまで医者をやってるんだ」と。

鎌田

なんと!

深川

フカガワという町工場のオヤジとして、会社の行く末が心配だったんです、父は。70代半ばという年齢もあり、気弱になっていたんでしょう。それで私に「帰ってこい」と言うわけです。せっかく医者としてやりがいをもって過ごしていたのに、そうくるかと思いました。

鎌田

そもそもは進路相談の場でのお父様の一言で医者の道に進んだのに。

深川

医者の仕事って素晴らしいんですよ。目の前の患者さまに集中できるし、尽くすことができる。特に眼科は治療の効果が比較的早く現れるから、患者様から感謝の言葉もいただきやすいし。それに当時は国際学会で研究発表もして、アカデミアもいいかなあなんて気持ちもありました。

鎌田

研究者の道もお考えだったんですね。

深川

しかし父親は帰ってこいと言う。そこで思いあまって私の師匠にあたる教授に相談したところ「両方やっちゃえばいい」という返事でした。

鎌田

普通は「二足のわらじは無理だ」って言うでしょ。すごい教授ですね。それで深川さんも背中を押されたと。

深川

ええ。さすがにアカデミアは難しいけれど、医師と経営者なら何とかなるんじゃないかと思って決断しました。ただ経営に関しては完全に素人でしたから、父の会社には専務として入社し10年弱、経営を学んだ後、社長になりました。ちなみに父は今年97歳で元気に過ごしています。

鎌田

株式会社フカガワでは空調ダクト工事業界向けに、機械化の提案を行っていらっしゃいますね。

深川

空調ダクト工事業界は職人の世界で、デジタル化とは無縁の業界なんです。当社への発注も電話かファクスがほとんど。先日はLINEで注文がありましたが「こないだと同じものを」と書いてありました。こういう業界に向けて機械化・自動化を提案していきたいと思っていますネオヒッピーですね。今私が名づけましたが。昔と違って点々としながらでも自由に発信できる時代ですので、生きたいように生きることが可能になったんだと思います。

鎌田

大きなテーマです。

深川

例えば図面もいまだに手描きのほうが多いんです。CADを導入していただけたら当社への発注もシームレスに行えるし、CADデータを切断機のCAMにも流用できます。

鎌田

BIM(Building Information Modeling)の発想ですね。

深川

そうなんです。業界のデジタル化は何としても推進していきたいと思います。

※この対談は2022年11月30日に弊社「GINZA XI」ラウンジ(東京・銀座)にて行われました。

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