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今、アメリカで独身女性の住宅購入者数が増加しています。
米国不動産メディア「Redfin」によると、2020年の第4四半期に住宅を購入した独身女性の割合が、前年と比べて8.7%増加(※1)。同じく独身男性の住宅購入数も前年比で伸びてはいるものの、その増加率は4.6%程度でした。独身男性と比べて、独身女性は約2倍近い伸び率を記録しています。
新型コロナウイルス流行以前から、アメリカにおける男女間の賃金格差は問題視されており、男性が1ドル稼ぐ間に女性は82セントしか稼げていないというデータも指摘されていました(※2)。加えてコロナ禍の影響で、レストラン、小売業、ヘルスケア領域など、女性労働者が多く働く業界が大きな打撃に見舞われています。
こうした業界では、失業者の男女比も女性の方が上回ることが予想されますが、このような状況下でなぜ家を買う独身女性が増えているのでしょうか?
独身女性の住宅購入数が増えている大きな要因として、不動産の専門家や業界関係者は“価値観の変化”を挙げています。自身のキャリアを優先する女性や、子どもを持つ時期を遅らせる女性が以前よりも増えており、こうしたことが要因にあるという指摘です。
その傾向がとりわけ顕著な都市が、ボストンです。自身の顧客に独身女性を多く抱えるボストンの不動産ブローカー、マリー・プレスティ氏は「これまで女性の多くは結婚するまで家を買うのを控えていたが、最近の世代は人生における明確な目標を持っており、結婚を待たずに自分で家を買う人が増えている」と不動産メディア「Real Estate」の記事の中で述べています(※3)。
マリー氏が説明するボストンのこうした傾向は、Redfinが公開しているデータからも裏付けられるようです。独身女性が住宅を購入した割合を大都市別に比較してみると、その割合がもっとも高かったのはボストンで、住宅購入者全体の4分の1を占める25.4%を独身女性が占める結果となりました(※4)。
またボストンでは、女性の47%が大学の学部卒以上の学歴を持っており、高等教育産業や医療分野など、女性が活躍する高収入の仕事も多く存在しています(※5)。他の都市と比べて、女性が資産を形成しやすい環境が確立されているのも、独身女性の住宅購入を後押しする要因となっているようです。
独身女性の住宅購入が増えているもう一つの大きな要因が、“歴史的な低金利”です。
Redfinのチーフエコノミストは、コロナ禍は高所得層の女性には大きなダメージを与えず、むしろ歴史的な低金利が住宅購入の追い風となったことを指摘しています(※6)。つまり、パンデミック前から家を買う余裕があった女性は、依然としてその余裕を維持している可能性が高く、2020年の終わりに住宅ローンがかつてないほどの低金利になったことで、購買意欲が逆に高まったというのです。
実際に、住宅購入者の一人である独身女性のサラ・ステッカー氏は「もともとは2021年の住宅購入を目標に頭金を貯金していたが、パンデミックで金利が大幅に下がったため、前倒しで2020年の夏にコンドミニアムを購入することができた」とRedfinの記事の中で答えています(※7)。コロナ禍を逆風と捉えず、むしろ追い風として好機に乗じた人々も存在するというわけです。
アメリカで独身女性の住宅購入が増えている要因として、“価値観の変化”と“歴史的な低金利”の2つをここでは挙げましたが、前者の変化した価値観が今後逆行する可能性はおそらく低いでしょう。加えて、後者の低金利が今後しばらく続く限り、独身女性の住宅購入数は引き続き増加することが予想されます。
今後のコロナ禍の動向で、住宅購入者数にどのような変化が見られるか、いずれにせよ要注目です。
(※1)(※2)(※4)(※6)(※7)RedFin“Single Women See Twice as Much Growth in Home Purchases as Single Men”2021-3-3
https://www.redfin.com/news/single-women-home-purchases-increase-2020/
(※3)(※5)Real Estate“In Boston area, more single women are snapping up homes than single men”
2020-4-30
https://realestate.boston.com/buying/2020/04/30/more-single-women-buy-homes-boston/
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