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不動産テック「Redfin」による賃貸ポータル大手「RentPath」の買収は米国不動産市場にどのような影響をもたらすか?

作成者: 海外不動産コラム 編集部|2021.04.27

Highlights

  • 米不動産テックRedfin社が賃貸ポータル大手RentPath社の買収を発表
  • RentPath社はここ数年、経営的にも厳しい状況に立たされていた
  • 買収が成立すれば、アメリカ不動産市場の勢力図が塗り替わるかも?

Redfin社による巨額の買収発表。その背景とは?

米国不動産仲介業者のRedfin社は2021年2月、「Rent.com」や「Apartment Guide」などの物件サイトを運営する賃貸ポータル大手RentPath社を約6億800万ドルで買収することを発表しました。

GAFAの不動産テック版とも呼ばれるZORC(Zillow、Opendoor、Redfin、Compassの4社)の一角を担い、その中でも破竹の勢いで成長を遂げているRedfin社。

その一方、RentPath社は2020年2月に破産申請を行なっており、経営的にも厳しい状況が続いていました。Redfin社はどのような狙いでRentPath社の買収に動いたのでしょうか? またこの買収劇は、米国不動産業界にどのような影響をもたらすのでしょうか?


破竹の勢いで成長を遂げる不動産テックRedfinとは?

Redfin社は2004年、シアトルで設立された不動産テック企業です。従来、不動産業者や物件オーナーの力が強かった不動産業界において、いち早くユーザーファーストのビジネスモデルを掲げ、急成長を遂げてきました。

求人サイトHiredの調査によると、シアトルにおける働きたい企業ランキングでも常に上位にランクインしており、2019年にはマイクロソフト社に次ぐ2位(※1)。2017年にはAmazonなど名だたる世界的大企業を抑えて1位になったこともあります。

ビジネスモデルとしては「不動産メディア」と「住宅売買仲介」の2本柱がメイン。もともとオンライン地図をベースとした不動産検索サイトから事業をスタートしたRedfinですが、その後、物件の購入・販売の仲介サービスの提供も開始。不動産ポータルと仲介企業、両方の顔を持つことが大きな利点となっており、仲介業者だけが利用可能な不動産データベースを大いに活用するなど、メディアのみを運営する企業に比べ、不動産情報の精度・スピードの点で大きな優位性を持っています。

仲介業においては、テクノロジー企業としての利点を生かし、業務を徹底的に効率化して安価な仲介手数料を実現。従来の不動産業者に比べ、売り手から徴収する金額が少なく、また手数料の一部を買い手に還元するなど、売り手と買い手双方にメリットがある仕組みを確立しています。

 

苦境に立たされていた不動産メディア企業RentPath社

一方、買収されたRentPath社は、賃貸不動産メディア「Rent.com」「ApartmentGuide.com」「Rentals.com」を運営するアトランタのメディア企業。

1989年にK-III Communications Corporationとして創業。不動産に限らず、多ジャンルのメディアの買収・売却を繰り返しながら成長を遂げてきた企業です。本格的に不動産分野に関わり始めたのは、2012年にeBayから「rent.com」を買収してからのこと。翌年の2013年には、現在のRentPathに社名を変更し、本格的に賃貸ビジネス分野に注力していくことになります。

しかし、そこからの状況は芳しいものではなく、2018年には大手格付け機関ムーディーズによる格付けランクがB3からCaa1に格下げ。2020年2月には破産申請を行い、競合企業のCoStar社からの買収話が持ち上がります。しかし2020年12月、FTC(米国連邦取引委員会)がこの買収を独占禁止法違反であるとして連邦裁判所に提訴。買収合意は結局、取り下げられることになりました。そこにRedfinが救いの手を差し伸べた形になります。

 

成功すればアメリカ不動産市場を揺るがす大きな買収取引に?

Redfinもまた、RentPathと近接した業種ではあるため、CoStar社の場合と同じように独占禁止法違反の指摘を受ける可能性はあります。しかし、もしこの買収が成立すれば、Redfinは巨大な賃貸ビジネス企業へとさらに成長することになるでしょう。

RedfinのCEOであるグレン・ケルマンはこの買収によって「北米のすべての人が家を見つけるための場所をつくりたい」と発言しています(※2)。また、この買収はアメリカにおける不動産ポータルの覇者・Zillow社への大きな牽制にもなることも予想されます。

Redfinとしても過去最大規模となる今回の買収取引。買収発表直後にはRedfin社の株価は約11%急上昇したといいます。成立すれば、米国不動産業界の勢力図を大きく塗り替えるかもしれないこの買収劇。今後の動向に要注目です。

(※1)HIRED“2019 Global Brand Health Report”https://hired.com/page/brand-health-report
(※2)GEEK WIRE“Redfin will pay $608M to acquire RentPath, owner of Rentals.com, Rent.com and ApartmentGuide”2021-2-19 https://www.geekwire.com/2021/redfin-agrees-acquire-rentpath-608-million-owner-rentals-com-rent-com-apartmentguide/

 

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