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バイデン大統領が提案する、住宅不動産に影響を与えるかもしれない5つの政策とは?

作成者: 海外不動産コラム 編集部|2021.04.18

Highlights

  • 不動産業界にはシビアな態度を取ると考えられているバイデン大統領
  • そんなバイデン大統領が掲げる住宅不動産に関わる5つの提案をご紹介
  • まだ成立前の提案ではあるが、いずれも今後の動向には要注目

バイデン大統領の不動産市場に対するスタンスとは?

大統領選前から、トランプ前大統領と比べて、不動産業界によりシビアな態度を取ることが予想されていたバイデン現大統領。本連載でも以前、バイデン政権がアメリカ不動産市場に与える影響についてご紹介しました。

本記事では2021年1月の正式就任後、バイデン大統領が実際に提案した政策の中から、特に住宅不動産に影響を与えそうな5つの政策をピックアップしてご紹介します。

ちなみに、ここでご紹介する政策は、あくまで「提案」段階のもの。実際に施行されるには議会の承認を得る必要があり、最終的にどのような形に落ち着くかはまだわかりませんが、不動産市場に対するバイデン大統領のスタンスを知るための参考材料にはなるはずです。

 

バイデン大統領が考える住宅不動産に関わる5つの提案

1.高所得者向け「1031 Exchange」の廃止
「1031 Exchange」は不動産投資における税優遇制度の1つ。通常、不動産を売却した際の差益にはキャピタルゲイン税が発生します。1031 Exchangeは売却益を一定期間内に同種の不動産に再投資することを条件に、キャピタルゲイン税の繰り延べができる制度です。

バイデン大統領は自身の税制プラン内で「所得40万ドル以上の不動産投資家に対する非生産的で不平等な税制優遇措置を廃止する」ことを明言しています。そうなった場合、1031 Exchangeは廃止対象の筆頭候補となるでしょう。1031 Exchangeが廃止されれば、高額不動産の流動性が低下する可能性も十分に考えられます。

2.SALT控除上限の撤廃
SALTはState And Local Taxの頭文字を取ったもので、連邦税(日本で言う国税)から、各州が定めている州税・地方税を控除する制度です。これによって税率の高い都市や州の住人は、税率の低い都市や州の住人よりも、連邦税が安くなります。

ただし、現在の制度では控除の上限額が決められており、高所得者かつ税率の高い都市部に住んでいる人の多くが上限額を上回ってしまうため、税制的に不利とされてきました。こうした背景から、アメリカでは都市部から郊外に移住する人が以前から多くいましたが、コロナ禍の影響で今、郊外への流入傾向はますます加速しています。

バイデン大統領が掲げるSALT控除の上限撤廃が実現すれば、都市部の税制不利がなくなり、郊外への移動も緩和されるかもしれません。これによって、現在高騰中の郊外物件の価格が、落ち着きを見せる可能性があります。

3.初めて住宅を購入する人への支援
バイデン大統領は、初めて住宅を購入する人に15,000ドルの税額控除を行うことを提案しています。これが実現すれば、資金的な問題で住宅購入に二の足を踏んでいた人への大きな助けになると同時に、住宅不動産市場にとっても、需要拡大の大きな一歩となることが見込まれます。

4.賃貸入居者への家賃補助や住宅所有者への支援
アメリカの不動産物件には「クラス」と呼ばれる格付けがあることは、過去に本連載でもご紹介しました。

現在、議会を通過している1兆9,000億ドルもの景気刺激策には、250億ドルに及ぶ賃貸支援予算も含まれています。コロナ禍により経済的なダメージを受けた人の中には、Bクラス・Cクラスといった賃料が安めの物件に入居している人も多く、これらの人々は家賃支払いが困難になる可能性も高いと見込まれていました。政府による賃貸支援策が実現すれば、そのような人々はもちろん、Bクラス・Cクラスの物件オーナーにとっても大きな恩恵となるはずです。

また今後の法案には、住宅ローンの支払い、固定資産税、光熱費などへの支援として100億ドルもの追加予算が含まれると見られています。これが実現すれば、住宅所有者に対する物件差し押さえを減少させると同時に、住宅市場における在庫不足がより促進される可能性も見込まれます。

5.低価格住宅の普及促進
どのように実現するのか、具体的な方法にはまだ言及していませんが、バイデン大統領は低価格帯の住宅を増やしたいと考えているようです。具体案として予想できるのは、物価の高い地域に低価格の住宅を建設する際の税制優遇措置や、土地区画整理法の変更といった方法です。

しかしその一方、低価格住宅が不足している背景には、都市ごとに異なる事情があるため、政府の施策のみで打開するのはなかなか難しいという懸念もあります。そのため不動産関係者の多くが、バイデン大統領の政策が住宅コストを大きく下げる可能性は低いと見ているようです。

 

あくまで成立前の提案だが、今後の動向には要注目

以上、バイデン大統領の5つの提案を見てきました。留意しておきたいのは、大統領はあくまで国家全体の行政を統括する立場であり、不動産業界を直接コントロールする立場ではないということ。また冒頭でも述べたように、これらの提案はまだ議論の段階であり、実際の政策として施行されるか否かは分かりません。

ただいずれも、施行されれば住宅不動産の価格や流動性に影響を与えることは間違いありません。アメリカ不動産投資に関わる方は、バイデン政権の動向に今後も要注目です。

 

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