ジョー・バイデン大統領は、2兆ドルのインフラ投資計画の財源を賄うため、法人税率の引き上げを発表しました。ドナルド・トランプ前大統領が35%から21%に引き下げた法人税を28%まで戻し、増える税収およそ8500億ドルをインフラ投資計画に充てる計画です。富裕層と大企業を優遇する減税措置を撤回し、雇用と中間層を救う狙いです。
この発表に対し、アメリカの複数の大手企業CEOたちが、法人税率の引き上げを全面的に支持すると表明しています。一方で、法人税率減税の大きな恩恵を受けてきた共和党と企業ロビイストたちは大幅な増税に反対しており、25%引き上げで妥協することを求めています。
トランプ前大統領の減税措置の影響によって、アメリカの財政赤字がわずか1年で26%も拡大したと米財務省と行政管理予算局は2019年の報告書で指摘しています。減税措置は、米企業が国外に避難させていた資金を国内に還流させることにつながったものの、その資金は一般市民に渡ることはありませんでした。多くの企業は減税によって浮いた資金を、株主への配当や幹部への賞与に当て、労働者の給与や投資には回さなかったのです。減税によって最も裕福な企業や個人からの税収が減ったことは、財政悪化の大きな原因となりました。
今までの法人税の引き下げについて、バイデン大統領は55社もの大手企業が税制上の抜け穴を利用し、連邦法人所得税を1セントも払っていないことを引き合いに出し、「あまりに不公平だ」と批判しました。「再び米国内と米経済に投資を行っていくことは重要である」とし、企業や国民からの十分な支持が得られると彼らは確信しています。
住宅不動産市場への影響という観点では、格差是正により住宅を購入できる層が増えるという見方ができる一方で、企業不振により国家全体の成長にブレーキがかかり不動産市場の成長にも悪影響及ぼすと見ることもできます。法人税が何%に落ち着くのか、そしてこの増税が住宅の価格や流通量にどう影響するのか、目が離せません。
4月6日、カリフォルニア州知事のギャビン・ニューサム知事は、6月15日に全面的に経済を再開する方針を発表しました。カリフォルニア州は、新型コロナウイルスの新規感染者数が減少しつづけ、ワクチン接種も進んでいます。
実際に、カリフォルニア州が完全に再開するためには以下のことに考慮する必要があります。
1.ワクチン接種の開始
より多くの人々が新型コロナウイルスのワクチン接種を受けることを見込み、経済を再開する方針です。既にカリフォルニア州では約2000万回のワクチン接種が行われており、居住者の34.5%が少なくとも1回の接種を受けています。4月15日からは、16歳以上の全住民がワクチン接種対象となります。州の保険福祉長官であるマーク・ガリー博士は、6月15日を経済活動再開のターゲットにした理由の1つとして、すべての成人に向けたワクチン接種を開始してから2か月後となることを挙げました。
2.新型コロナウイルスの流行度合い
アメリカ国内の他地域では春に感染者数が急増しているのに対し、カリフォルニア州では、感染者数が減少しています。しかし、カリフォルニア州は経済再開に向けた厳密な基準を定められていません。そのため、ガリー氏は病院の収容能力や日常的な医療への影響について検討していると述べています。
3.変異株
保健当局は、新型コロナウイルスの変異株は依然として脅威であると警告し続けています。特に懸念されるのは、国内で最も一般的なイギリス型変異株です。さらにカリフォルニア州では、イギリス型に加えて、従来よりも感染力が高い新たな変異株「二重変異株」が検出されました。最近インドで見つかった「二重変異株」は、1つのウイルス内で2つの変異が起きたもので、一部の科学者の間で危険性が指摘されています。
4.行動
感染者数が減っているカリフォルニア州では、6/15を待たずしてすでに経済が再開しはじめています。しかし保健当局や専門家たちは、他の州が感染者数が急増していることを引き合いに出し、(州内での感染が減っているからといって)警戒を怠らず、予防を果たしていくべきだと促しつづけています。
カリフォルニア州は、アメリカにおける経済活動再開の先鋒となれるのか、米国内外から注目が集まっています。
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