集中投資と分散投資、それぞれの特徴
2022年現在、世界同時インフレが急速に進んでいます。例えば、アメリカの消費者物価指数の上昇率は8%台で推移。これは第二次オイルショックの大打撃を受けた70年代後半から80年代初頭に次ぐ戦後米国史上2番め、2000年以降では最も急激なインフレです。
- アメリカ全都市の消費者物価指数(CPI)
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※出典:FRED(https://fred.stlouisfed.org/series/CPIAUCSL)提供データより当社が独自制作
インフレ(物価上昇)は、裏を返せば現金の価値の低下。「100円で買えていたパンが200円になった」は、「パン1個分の価値があった硬貨が、パン半分の価値になった」とも言い換えられます。つまり今、現金の価値は急落しつつあるのです。
“資産運用のプロ”である資産家たちが、現物資産にシフトしはじめる理由
そんな事態へのリスクヘッジのために、資産家たちは少し前から現金を手放し、現物資産へのシフトを進めていました。価値が下がるから手放すのか、彼らが手放すからより価値が下がるのか、鶏が先か卵が先かの議論にはなりますが、現金が持つその影響力はゆっくりと、しかし確実に下がっています。
資産に働かせて資産を増やし、増えた資産をさらにまた働かせる。資産運用のプロとも言える資産家たちが、なぜ、ポートフォリオを現物資産重視にシフトしはじめているのか? その狙いとして、有力な仮説は以下の2つです。
1. 低金利政策により、現預金が“働かない資産”になっているから
2. あらゆる社会情勢に対応するために、リスクを分散したいから
1つずつ説明しましょう。
現金は“働かない資産”?
上述のように、資産家たちはお金に働かせてお金を増やしています。その観点からすると、世界的にいまだ低金利政策が取られている今、現預金はもはや働かない資産です。銀行に預けたところで、生み出すお金はゼロか、ごくわずかです。
2022年になり、アメリカではFedが政策金利の利上げを実施しはじめましたが、預金金利はすぐには連動しないだろうとの予想が一般的です。なぜなら、金融緩和によりダブついた資金の一部は銀行預金として銀行の手元にあり、銀行のビジネスである預金と貸金の比率にひずみが生じてしまっているからです。通常、政策金利が上昇すると預金金利も連れて上昇しますが、これは銀行が多くの預金を集めて融資事業の原資にするためです。しかし、米国商業銀行の預金総額は2022年2月時点で約18兆1000億ドルと、コロナ直前の2020年初の約13兆3000億ドルから1.36倍に膨れ上がっています。預金残高が潤沢な今、利息を増やしてまで預金額を増やす動機があまりないのです。
実際、米版クレート社の調査によると2022年4月13日週の普通預金金利は、全国平均で0.06%で、2021年からまったく上昇していません。「銀行に預けておいても意味がない」という時代はもうしばらく続くでしょう。
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先行きが見えないときこそ、分散投資
2つめの社会情勢に対するリスク分散について。金利が急激には上昇しないのに対し、社会情勢はいとも簡単に急変します。古くは世界恐慌や二度にわたる世界大戦、最近では2009年のリーマン・ショックや、2020年のコロナ禍、そして2022年のロシアによるウクライナ侵攻……。ごく短期間に世界の情勢が変わってしまった例は数多く、その度に資産に大打撃を受ける投資家が続出しました。
またネガティブな要因だけに限らず、ビジネスやテクノロジーの分野でのイノベーションによって、大きなゲームチェンジが起こる日が近いとの見方もあります。経済全体にとってはポジティブな見通しではありますが、それによって既存の産業が淘汰されてしまう可能性もあります。
いずれにせよ、5年後、10年後の世界情勢は今とは全く違うものになっている可能性があります。ある国の影響力が急激に増したり、下がったりすることも往々にしてあります。そのとき、発行国の信用力に依存した現金をポートフォリオの中心に据えていると、大きなダメージを受けるかもしれません。
現金を信仰する日本人
世界的には現物資産へのシフトが進んでいますが、日本にいるとそうしたトレンドを感じ取りにくいかもしれません。日本人は世界的に見ても現金、特に自国通貨に対する信頼が厚い国民だからです。クレジットカードがどこでも使えて、スマホ決済まで登場した今でも、頑として現金のみを使う人が数多くいます。
現金信仰とも言えるこだわりは、資産構成にも表れていて、個人資産に対する現金・預金の比率は54.7%(OECD:2021年)にもおよびます。意外と少ないと感じるかもしれませんが、保険・年金が23.8%を占めるため、投資資産の割合は2割程度です。
一方、他の国々の現金・預金の比率はと言うと、フランスが29.3%、イギリスが26.0%、アメリカにいたってはわずか12.7%です。諸外国では豊かな国ほど現金・預金比率が低い傾向にあります。
また、一般的に高齢者ほど預金を好むため、高齢者に富が集中している日本で現金・預金の比率が高くなるのは当然かも知れません。それにしてもグローバルで比較すれば極端に貯蓄選好であることは明らかです。
この要因として、国内運用商品の利率の低さが挙げられます。例えば、コロナ前の2019年3月に募集された個人向け10年物国債の年利はわずか0.05%でした。一方、同時期のアメリカ10年物国債の利回りは2.5%程度でした。経済活動が正常だったコロナ前で比較してみても、国内の投資商品には魅力的なものが少ないといえます。また、日本人にとって海外の投資商品購入はまだまだハードルが高いということも、投資が進まない要因と言えるかもしれません。
しかし、上に述べた通り日本円のみで資産を保持し続けることは、今や大きなリスクです。「どうせ増えないから投資はしない」ではなく、「減らさないために投資する」というタイミングが来ているのです。
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