賢人を賢人たらしめている行動や考え方は。そして大切にしている習慣は──。
インタビューを通じて、そんな共通点を探っていきます。
ラグビーでは、キャプテンの存在感が他の競技とは違うそうですね。
圧倒的なキャプテンシーを求められるんです。例えばレフェリーが選手に注意を与える際は、キャプテンも一緒に呼ばれて「お前がちゃんとしていないからだ」と叱られます。試合になると監督は客席で見守るしかなく、フィールドではキャプテンがすべてなんです。
そんなキャプテンを、中竹さんは早稲田大学で務められました。
キャプテンとは言え、最後のゲームまで一度も試合に出られなかったキャプテンなんです。選手としては本当に下手でした。
それなのになぜキャプテンに？
早大では4年生が卒業を前に次のキャプテンを指名し、バトンを渡すのが伝統です。ところがこの年は下級生たちが「オレたちはもっといいチームをつくりたいんだ」と卒業生に反逆し、指名をボイコットしてしまったんです。監督も怒っていなくなってしまって、それで僕のところにお鉢が回ってきました
リーダーシップがおありだったと。
早大ともなると全国から猛者が集まってくるんです。彼らはチームの雑用なんか嫌がってやりません。仕方ないから僕が雑用は全部引き受けていました。ボイコットのときも、話し合いが紛糾して、私が仲裁役に入るしかなかったんです。そんな流れから「この際、中竹でいいんじゃないか」となりました。
問題児集団の同期たちが中竹さんを認めてくれたんですね。
でも大学OBやラグビー界の批判はひどかったですよ。ラグビー専門誌も「中竹って誰？」っていう見出しでした。
そんな学生時代の最後の試合で、大怪我をされたそうですね。
4年生の海外遠征でやっと出場したんですが、初戦で顎を砕かれてしまいました。180cm、100kgの相手の膝が入って終わりです。ラグビーに引導を渡されたと思いました。
壮絶な怪我でしたね。でも中竹さんは痛みをあまり感じないタイプと聞きましたが。
そうなんですよ。例えば膝を怪我したら“この膝はオレの膝じゃない”と念じるんです。信じ込むと、意外と痛みを感じなくなります。
なるほど、自分の脳を騙すわけですか。
この方法は、四肢の末端ほど有効です。でも体の中心部に近くなるほど効かなくなる。だから顎の怪我は痛かったです。
※この対談は2022年12月14日に弊社「GINZA XI」ラウンジ（東京・銀座）にて行われました。
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