アメリカのジョー・バイデン大統領は、5月28日、政権発足後初の年間予算案を発表しました。予算案に含められた歳出の総額は、6兆ドル(約660兆円)。巨大な規模の新しい社会福祉制度の発足や、気候変動対策への大規模投資などが含まれています。バイデン大統領は法人税やキャピタルゲイン税、富裕層への大幅な増税で3兆円以上の財源確保する計画を発表していましたが、今回発表された歳出額はそれをはるかに上回っています。その影響は凄まじく、2031年までに米連邦政府の債務残高がGDPの117%に達し、第2次世界大戦中の水準を超える見通しとなっています。
これを受けて、共和党のリンゼー・グラム上院議員は「非常に高い」とバイデン大統領の予算案を非難しています。(とはいえ、トランプ前大統領が率いた共和党も毎年赤字を出しており、最終的な予算案は、4兆8000億ドル(約526兆円)に達していたのですが)。
バイデン氏は今回の予算案について「米国民に直接投資し、わが国の経済を強化、長期的な財政健全性を向上させる」と発言。官邸からは、アメリカ経済全体を成長させるにはトリクルダウン(富裕層優遇による引き上げ)ではなく、ボトムアップ(貧困層支援による下支え)とミドルアウト(中産階級支援による購買活性化)のアプローチが必要だと説明しています。
具体的な案の内容は以下の通りです。
・クリーンエネルギー投資を含む、気候変動への対策に8,000億ドル以上
・3歳と4歳の児童全員に就学前教育を無料提供、2,000億ドル
・アメリカ全土の傷病・介護休暇事業に2,250億ドル
・道路・橋梁の整備に1,150億ドル、公共交通機関・鉄道の整備に1,600億ドル
・全世帯がブロードバンドインターネットに接続するための設備投資に1,000億ドル
このような巨額の政府支出はインフレを促進し、金利引き上げにつながり、結果的に景気後退のリスクが高まる、と一部のエコノミストは警告しています。また、共和党もこれらの記録的な支出に警戒感を示しています。一方でホワイトハウスは、増税によって赤字が解消されるため、15年以内に償還できると見積もっています。
複数の異なる収入源から収入を得て、上司の指示ではなく自分の好きな時に仕事をするギグワーカーが、一般的になってきています。1~3時間程度の短時間労働が当たり前になり、9時から17時までフルタイムで仕事をしなければならない時代は終わりつつあります。Uber、Lyft、Turo、Fiverrなどを中心としたギグエコノミー企業によってフリーランスやギグワークが普及し、従来のフルタイムの雇用から独立した契約への大規模な変化が生じています。これらの自由な市場システムは、ギグ・エコノミーと呼ばれています。このトレンドは、テクノロジーの進歩やデジタルノマドの普及が密接に関係してます。
米国では労働者の約36%がギグエコノミーに属しており、労働者の12%はパンデミックをきっかけにフリーランスの仕事を始めました。新しい病の脅威にさらされているにも関わらず、フリーランサーの86%は、ギグワーク業界は明るい未来があると考えています。現在のペースで成長し続ければ、2027年には米国の労働力の50%以上がギグエコノミーに何らかの形で参加することになります。
ギグエコノミーは、働き手にとっては場所や時間、相手を選ぶことができるメリットがあると同時に、企業にとっても柔軟性のある人材を確保できるメリットがあります。双方にとって利点があることで、ギグエコノミーは急速に成長しているのです。統計が示すように、新型コロナウイルスの大流行によってこれらの成長は加速し、今後も急速に拡大することが予想されます。
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