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韓国の政治危機に「有事の円買い」が復活?

作成者: 海外不動産コラム 編集部|2024.12.12

1.韓国政治を混乱に呼んだ尹大統領の非常戒厳宣布

2024年12月3日夜、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が非常戒厳を宣布すると発表。この措置は、国内での政治的混乱やデモの激化を抑えるための緊急措置と説明されましたが、批判的な見方では、尹大統領の保身を目的とした行動であったと指摘されています。

この発表は、国会や市民団体から強い反発を招き、深夜にも関わらず韓国国会議事堂周辺に抗議する議員や市民が集結。一方、政府側は軍を動員してこれを制圧しようとするなど、現場は混乱を極めました。その結果、国会や世論の圧力により、4日朝には戒厳が解除されました。

非常戒厳宣布後、韓国政府は迅速に市場の安定を図るための措置を講じました。具体的には、韓国銀行が市場への流動性供給を無制限に行う方針を発表し、ウォンの急落を防ぐために介入を実施しました。

2.騒動後、円高が進む。「有事の円買い」の復活か?

「有事の円買い」とは、地政学的リスクや経済的不確実性が高まった際に、投資家がリスク回避のために日本円を買う現象を指します。日本が長年、経常収支黒字を維持し、政治的・経済的に安定した国とみなされてきたことから、円が「安全資産」として選ばれてきました。

この現象は、アジア通貨危機(1997–1998年)やリーマンショック(2008年)、東日本大震災(2011年)などで繰り返されてきましたが、近年では日本の経済的地位の相対的な低下や、米ドルの信頼性向上により、傾向が薄れつつありました。たとえば2022年のロシア・ウクライナ戦争では、円ではなく米ドルやスイスフランが選好された例が記憶に新しいところです。

しかし、2024年12月の韓国における非常戒厳宣布の直後、円が買われる動きが見られました。円は対ドルで一時148円台に上昇し、その後数日間堅調に推移しました。この動きを受け、市場関係者の一部は、「有事の円買い」が再び注目される兆候だと指摘しました。

一部の投資家は、今回の円高を「安全資産」としての円の評価が見直されつつあるサインと捉えています。ただし、今回の動きが短期的なものに留まる可能性もあり、円が再び「安全資産」として確固たる地位を取り戻すかどうかは、今後の市場環境次第と言えるでしょう。

 


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