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米国がデフォルト危機回避に向け前進。両党指導者が債務上限停止で大筋合意

作成者: 海外不動産コラム 編集部|2023.06.30

【この記事のポイント(Insights)】

  • 債務上限問題への対応についてバイデン大統領と共和党員のマッカーシー下院議長が大筋合意したことが報じられた。
  • 合意法案は、債務上限停止期間を2025年1月とした点は民主党の要望が通った。
  • 一方で、社会保障支出の圧縮と、軍需産業のみを例外的に優遇する点は共和党の要望が実った。

債務上限問題への対応で、両党指導者が大筋合意

2023年5月27日、債務上限問題への対応についてバイデン大統領と共和党員のマッカーシー下院議長が大筋合意したことが各メディアから報じられました。翌28日には具体的な法案文言も公開され、上下両院の議会での採決を待つ状況です。

とはいえ、まだデフォルト回避が決定したわけではありません。事態の発端である、上下院のねじれそのものは解消していないからです。与党民主党が過半数を占める上院議会からは、共和党の要求によって妥協した部分への賛同を渋る議員が少なからずいるはずです。共和党が過半数を占める下院も同様で、民主党に対しより多くの妥協を要求する議員がいると考えられます。

両党の指導者は彼らを説得する必要がありますが、猶予はそれほどありません。6月上旬にも債務上限に達すると言われているなか、スピーディーな対応が求められます。

2023年度アメリカ債務上限停止法案の概要

とはいえ、デフォルト回避に向けて議論が大きく前進したことは事実です。28日に発表された法案は、上下院議会で多少調整される可能性があるとはいえ、骨子は揺るがないでしょう。そこで、28日の法案のなかで、重要と思われる項目を抜粋してご紹介します。

債務上限の一時無効化
31.4兆ドルに設定されていた債務上限が2025年1月1日まで無効になります。つまり、この期間までは上限なく追加借り入れできるため、当面の利払いが可能になります。この項目を読む上で注目したいのは期日です。というのも、この期日のまま法案が可決されれば、国民は2024年の大統領選までこの問題に頭を悩ませる必要がなくなるからです。この点は、与党民主党の要望が通ったのではと分析する専門家が多いようです。

政府支出の抑制と防衛関係者の優遇
国防以外の裁量的支出を2022年度の水準に引き下げるとともに、今後6年間の年間成長率1%に制限する項目です。「国防以外の」と明記されているように、国防に関する支出は制限の対象に含まれません。また、多くの社会保障制度の利用条件を厳しく締め付ける一方で、退役軍人への医療費全額負担も維持されます。
こちらは、軍需産業を支持基盤にする共和党の要求が通った形です。

各種救済策の縮小
低所得層への食料支援であるフードスタンプの利用に労働要件を課す(週20時間以上働いていないと利用可能な期間が大幅に制限される)、新型コロナ感染症対策基金の未利用分のうち約280億ドルの予算を取り消す、停止していた学生ローンの返済を再開するなど、弱者保護的側面を持つ施策の多くが縮小されます。
こちらも、政府支出の圧縮を求めていた共和党の要求が反映されています。

クリーンエネルギー政策は維持
共和党が要求していた、クリーンエネルギー税額控除と補助金の廃止は盛り込まれず、民主党が肝入の政策を死守した形です。合意の背景には、ウクライナ危機によるエネルギー問題もあったと考えられます。自国でのエネルギー供給を強化するため、ウェストバージニア州の天然ガスパイプラインであるマウンテンバレーパイプラインの建設を加速することについて、両党で見解が一致しています。

両党の思惑が交差するこの法案は、早くも31日に採決が行われる予定です。米国民のみならず、世界中の人々に影響を及ぼしうる債務上限問題は、このまま無事に着地するのでしょうか?

 

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