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「赤い波」と呼ばれる共和党の大勝利が噂されたアメリカの中間選挙でしたが、共和党には前評判ほどの勢いがなく、上院では民主党が半数維持する結果に終わりました。この結果を招いた主因とされるのが、年齢別人口の推移です。具体的に言うと、民主党支持者が多い30代以下が勢力を伸ばしていることです。
しばしばシルバーデモクラシー(シルバー民主主義)という言葉が使われるように、投票者に占める高齢者の割合が多い日本からすると想像しにくいのですが、今やアメリカでは30代以下の人口が上の世代に匹敵するボリュームになっています。
30代以下の世代とは、2000年前後に社会に出る年齢に達した人々を指すミレニアル世代(別名:ジェネレーションY)と、その次の世代であるZ世代を指します。アメリカでは、それぞれの世代の人口比が、ミレニアル世代は全人口の20.5%、Z世代は19.7%(いずれも2019年時点のデータ)で、足し合わせると4割を超えます。
約7,200万人と言われるミレニアル世代。かつて最大派閥だったベビーブーマー世代(第二次世界大戦終結直後に生まれた世代)の人口約6,800万人を抜き去っています(ともに2019年時点のデータ)。ベビーブーマーたちはすでに後期高齢者に差し掛かろうという年齢で、これから人口減少が加速するのは間違いありません。ミレニアル世代以降の世代の政治への影響度は今後ますます増していくと見られています。
この世代の人々は民主党支持の傾向が強いのですが、それには以下のような理由があると考えられています。
人口構成と、各世代の過去の投票率を踏まえ、次回の大統領選では有効票の4割以上をミレニアル世代とZ世代が占めると予想されています。この世代の支持無くして勝利は難しい状況ですが、今のところ共和党には目立った打ち手が見られません。このまま時が経てば、民主党有利に進むと見るのが妥当でしょう。
民主党にとってのライバルはむしろ党内にいるかもしれません。2018年中間選挙に民主党から出馬し、若者からの絶大な支持によって史上最年少(29歳)の女性下院議員となったアレクサンドリア・オカシオ=コルテスは、政治団体「アメリカ民主社会主義者」のメンバーで、団体名の通り社会主義を支持しています。無所属ながら、大統領選の民主党予備選にも2度出馬した大物議員バーニー・サンダースも、「アメリカ民主社会主義者」と協力関係にあり、自身を社会主義者であると標榜しています。民主党の所属議員や支援者のなかには、社会主義に希望を見出す人物も多く、若い世代の台頭とともにその傾向はさらに増すものと考えられます。
世代別人口の変遷とともに、社会の在り方も変化していくアメリカ。大きな変化が迫っているのかもしれません。
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