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12月19日、カタールで開催されたサッカーのワールドカップが幕を閉じました。日本代表が前評判以上の健闘を見せてくれたこともあり、観戦を楽しまれた方も多いのではないでしょうか?
そんなワールドカップを次回開催するのが、アメリカ、カナダ、メキシコの北米3カ国です。2002年の日韓共催以来2回めの共催、さらに3カ国での共催は史上初の試みです。大きなスポーツビジネス市場を持ち、会場インフラも整っているアメリカ、カナダ。経済規模では劣るものの、古くからサッカー強豪国であったメキシコ。3カ国が組むことで、経済的な成功と、大会運営の安定化が期待されています。
しかし、ワールドカップに向けて協調する3カ国も、政治的・経済的な観点では一枚岩ではありません。1992年に3カ国で酌み交わしたNAFTA(北米自由貿易協定)は、アメリカ国内からの「メキシコに生産と雇用が流出している。また、メキシコに生産移管した工場からの輸入増により国内産業が競争に晒されている」との声により内容見直しを余儀なくされ、2018年にUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)に置き換えられました。その後も三国の間では様々なすれ違いが生じています。
例えば現在揉めているのは、メキシコのエネルギー政策です。アメリカ・カナダは、メキシコがUSMCAに違反しているとかねてから指摘してきており、12月12日にはついに紛争解決手続きに乗り出しました。アメリカとカナダが主張する、メキシコの違反内容は以下の4点です。
1. 2021年に改正された電力産業法が公平性に欠けていること。メキシコ国有企業である電力庁(CFE)が生産した電力を、民間企業が生産した電力よりも優遇している。
2. 民間企業がメキシコのエネルギー産業で事業を行う際の、政府の許認可フローが不透明であること。不作為、遅延、却下、取り消しなどが見られる。
3. 2019年12月に発効された規制において、メキシコ石油公社(PEMEX)だけを優遇していること。同規制では、自動車ディーゼル燃料基準で硫黄含有量の上限値を課すものだが、PEMEXだけに順守期限の猶予が認められた。
4. 2022年6月の政府決定が、PEMEXとCFEだけを優遇していること。天然ガス輸送ネットワークの利用において、2社だけに特別な便宜が図られている。
そのほかにも、アメリカが乳製品関税についてカナダに要求を繰り返したり、自動車原産国規則の解釈を巡ってアメリカVSカナダ・メキシコで意見の食い違いが見られたりと、話題に事欠きません。それぞれの利害があるなか、完全に一致団結することは難しいものの、北米経済の発展のために協調してほしいものです。
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