2025年に入り、暗号通貨市場は目まぐるしい動きを見せています。
1月、暗号通貨に好意的なことで知られるトランプ大統領の就任に向け、各種コインの価格はほぼ一様に上昇。ビットコイン価格は、就任式当日の1月20日に過去最高値の10万9,000ドルに達しました。
しかし、就任直後に暗号通貨フレンドリーな政策の発表が特になかったことから、価格は緩やかに下降。2月に入ると極端な関税政策を嫌って大幅な株安が発生し、釣られるように暗号資産市場も一時9万2,000ドル台まで急落。その後やや持ち直すも約9万8,000ドルから約9万5,000ドルへとズルズル下がりました。2月中旬にインフレ指数が発表されると、収まらないインフレに投資家たちが金利の高止まりを警戒。リスク回避で資金引き上げを行ったことで市場は一気に悲観モードへと切り替わり、2月28日には一時8万ドルを切る水準まで急降下しました。
ところが月が変わった3月2日、15時に8万5,000ドルだったビットコイン価格が、3時間後の18時には9万4,000ドルまで反発しました。3月3日現在は、2月上旬と同程度の水準にとどまっています。
この乱高下に関連して、トランプ大統領に対し「相場操縦では?」と批判の声が上がっています。というのも、トランプ大統領は暗号通貨市場に対して非常に大きな影響力を持っているからです。
3月2日の急反発も、トランプ大統領が自身のSNS(トゥルースソーシャル)に「戦略的暗号資産備蓄(Crypto Strategic Reserve)」の創設方針を投稿し、備蓄に含める暗号資産の銘柄を初めて具体的に言及しましたことがきっかけで起こりました。反発は暗号通貨全体に及んでいますが、備蓄銘柄として名指しで挙げられた5つのコインは市場平均を大幅にアウトパフォームしています。この日の5銘柄の上昇率は、ビットコイン(約9%)、イーサリアム(約13%)、リップル(約30%)、ソラナ(約20%)、カルダノ(約50%)でした。
今回の例からも分かるように、トランプ大統領の発言は市場に対し、即時的かつ強大な影響力を持っています。もし彼やその関係者が暗号資産を入手し、その後に大統領として市場にポジティブな発言をすれば、簡単に利益を得ることができます。もしこうした行為を行っていれば、相場操縦という指摘のとおりですが、それをしているかいないか確かめる術はなく、事実は闇の中です。
就任直前には夫婦でそれぞれ自身の名を冠したミームコイン(「TRUMP」「MELANIA」)を発行し、一部の投資家に大きな損失を与えたことから、スキャム詐欺だとも言われたトランプ大統領。一個人がこれほどまでに大きな、かつグレーな力を持ててしまうのは、市場にとってネガティブなことかもしれません。
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