日本では新型コロナウイルスに関する報道が減り、人々の関心や予防意識も徐々に薄れていますが、米国も同様の傾向があります。23年12月23日時点で、インフルエンザの予防接種を行った人は約44%いたのに対し、最新の新型コロナワクチンを接種した人は約19%にとどまりました。しかし、人々の関心とは裏腹に全米で新型コロナウイルスによる死亡者数が再増加しつつあります。
CDCが集計したデータ「Trends in United States COVID-19 Hospitalizations, Deaths, Emergency Department (ED) Visits, and Test Positivity by Geographic Area:米国におけるCOVID-19による入院、死亡、救急外来(ED)受診および検査陽性の地域別傾向」によると、今年7月には全米で500人前後だった新型コロナウイルスによる週間死亡者数は、8月中旬から増加しはじめ、9月以降12月中旬まで1,200~1,500人の水準をキープしています。
最盛期の21年1月には約26,000人が毎週亡くなっていたことを考えるとまだ低水準ではありますが、例年の上昇曲線を踏まえると1月中下旬に最も死亡者が増えるため、専門家たちが警鐘を鳴らしています。
特に今注目されているのが、先日WHOが「注目すべき株」として発表したJN.1株です。JN.1株は、世界中で猛威を振るったオミクロン株の亜種で免疫システムを回避する能力に優れている(つまり、ワクチン接種者や過去に感染したことのある人にも感染しやすい)とされます。
CDCは23年12月22日、全米の新型コロナウイルス感染の39~50%がJN.1株によるものだと推測されると発表。12月8日の時点ではJN.1株の割合は15~29%とされていたことを考えると、感染拡大速度の凄まじさが分かります。
JN.1株はアメリカ以外にもインド、中国、イギリスなど世界各地で確認されており、日本国内でも蔓延しつつあります。東京都の調査によると、23年11月27日から12月3日までの都内検体のうち、JN.1株は17.6%でした。重症化率は過去の株と比較しても高くないようですが、十分に注意を払いたいものです。
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