賢者の投資術 Powered by OPEN HOUSE

原油高で米住宅ローン金利は7%台へ。中東情勢が住宅市場に届く経路

作成者: 海外不動産コラム 編集部|2026.10.02

1. 米住宅ローン金利が7%台へ、中東情勢が金利を押し上げる

米国の住宅ローン金利が再び7%台に達しました。フレディマックによると、30年固定住宅ローンの平均金利は2026年9月24日時点で7.03%。8月27日の6.66%から、約1カ月で0.37ポイント上昇しました。前年同期は6.30%だったため、住宅購入者にとっては再び厳しい金利環境となっています。

背景の1つにあるのが、中東情勢の緊迫化です。米国・イスラエルとイランの戦争を背景に原油供給への懸念が強まり、9月10日には北海ブレント原油先物が1バレル107.63ドルまで上昇しました。9月29日には中東からの原油輸出回復を受けて102.59ドルまで下落したものの、それでも月間では約13%上昇しています。

原油価格を背景にインフレが長引くと、FRB(米連邦準備制度理事会)が政策金利を引き上げる必要性も高まります。実際、FRBは9月16日に政策金利を0.25ポイント引き上げ、3.75~4.00%としました。FRB自身もインフレが依然として高いと説明しています。

こうしたインフレ懸念などから債券が売られ、住宅ローン金利との連動性が高い米10年債利回りも上昇。9月29日には一時5.293%と、2007年以来の高水準を記録しました。Reutersは、中東情勢による原油高とインフレ懸念に加え、堅調な米国景気などが米国債利回りを押し上げていると伝えています。

つまり今回の動きは、大まかに「中東情勢の緊迫化→原油高→インフレ懸念→FRBの追加利上げ観測→米国債利回り上昇→住宅ローン金利上昇」という経路で捉えられます。

2. 停滞する米住宅市場に、さらなる打撃か

住宅ローン金利が7%台になったことを受け、住宅市場にはどのような影響が及ぶのでしょうか。

フレディマックの試算では、30年ローンで30万ドルを借りた場合、金利6.5%なら毎月の元利返済額は約1,896ドルですが、7.0%では約1,996ドル、7.5%では約2,098ドルになります。わずか0.5ポイントの差でも、毎月約100ドルずつ負担が増える計算です。この影響は住宅ローン市場にも表れています。MBA(全米抵当銀行協会)によると、9月18日までの週の住宅購入向けローン申請は前週比1%減、前年同期比では11%減となりました。

このところ、米住宅市場は力強い状態ではありません。8月の中古住宅販売件数は前月比2.0%減の年率398万戸。一方、売り出し在庫は162万戸と前月から3.2%増え、2019年11月以来初めて160万戸を上回りました。中古住宅価格の中央値は42万9,100ドルと前年同期比1.6%上昇しているものの、需要の弱さと在庫の増加が同時に進んでいます。金利上昇により、需要がますます弱る可能性があります。

中東情勢が沈静化して原油価格が下がり、インフレ懸念が後退すれば、この経路が逆回転する可能性もあります。実際、9月29日には原油価格の下落やFRB高官の慎重な発言を受け、米国債利回りは一時の高値から低下しました。

一方で「原油が下がれば、必ず住宅ローン金利も下がる」という単純な関係ではないことも認識しておく必要があります。米10年債利回りはインフレだけで決まるものではなく、景気見通しや米国債の発行量、財政への懸念など、さまざまな要因に左右されます。実際、9月の世界的な債券安では、国債発行の増加や政府財政への懸念など、エネルギー高以外の複数の要因も金利を押し上げています。

住宅市場に多大な影響を及ぼす中東情勢。今後どのような決着を迎えるのでしょうか?

 

注目記事
なぜ、こんなにも多くのお客様にご支持を頂いているのか(その1)

なぜ、こんなにも多くのお客様にご支持を頂いているのか(その2)

なぜ米国不動産と法人税繰延の相性は抜群に良いのか。