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中国でiPhoneが一部禁止されたとの報道により、アップルの株価が急落。

作成者: 海外不動産コラム 編集部|2023.09.29

中国政府、職員のiPhone使用を禁止

2023年9月6日、中国が政府職員に対しiPhoneの使用を禁止したことが報道されると、アップルの株価は当日中に3.6%急落しました。翌7日は、禁止措置を政府支援機関や民間企業にまで拡大することを計画しているとの続報があり、株価はさらに2.9%下落。わずか2日間で、同社は時価総額を2,000億ドル近く減らしました。

6日時点では、株価にこそすでに大きな影響を受けていたものの、アップルの経営に大きな影響がないという声もありました。例えば、ウェドブッシュ証券のアナリストであるダニエル・アイブス氏はCNBCの番組に出演した際、中国政府関係者でiPhone禁止の影響を受けるのは50万人程度似すぎず、同国におけるiPhoneの年間販売台数が4,500万台と予想されていることからすると、その影響は無視できるほど小さいと話しました。(ただし、影響を受ける人が50万人という発言の根拠は示されていません)

しかし、禁止の範囲が民間企業にまで拡大される可能性があるとなると話は変わります。禁止措置の中身は分かりませんが、やるときは徹底的にやる中国政府だけに、同国における売上が壊滅的な状況に陥るかもしれません。アップルにとって中国は最大の海外市場であり、2022年の中国での売上高は同社の総収益の約5分の1を占めているだけに、その影響は計り知れません。

アメリカがファーウェイ締め出したことへの意趣返しの意味も

中国政府は禁止措置を行う理由を、地政学的リスクが高まるなかで外国の技術への依存を減らすためと説明しています。これはアメリカが行ったファーウェイら中国企業製品への禁止措置への意趣返しともとれます。アメリカは2019年に、情報リスクを理由に、大手通信機器メーカーであるファーウェイの一部製品(主に半導体)を禁輸リストに加えました。以降、禁輸製品を更新して来ましたが、23年1月にはついに同社の輸出許可を全面停止。一切の取引ができない状況へと追い込みました。
一方、中国政府は政府職員にファーウェイ製スマホを使用することを推奨し、iPhoneへの依存を低める努力をしてきました。今回の措置はその延長ではありますが、公の場で禁止を明言したのは、アメリカの中国製品締め出しに対する講義の意味もあるのでしょう。 時価総額3兆ドルを突破し、さらなる成長が見込まれるも、国家間の牽制にその勢いを削がれてしまったアップル社。アメリカの株式市場をリードする1社であるだけに、市場全体への悪影響が心配されます。


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