ドイツの連邦統計局が発表したデータによると、2023年第1四半期、同国内の住宅価格指数(2015年を100とする)は152.1となり、昨年同時期の163.2に比べ6.8%落ち込みました。この下落幅は、連邦統計局が住宅価格指数を公表しはじめた2000年以来最大とのことです。
一方で、四半期ベースで比較すると、22年第4四半期からは3.1%の下落で、22年第3四半期から第4四半期にかけての4.9%下落と比べれば下降速度は緩やかでした。このことから専門家の多くは、住宅価格は頭打ちになったものの、今後は低迷が止まるか、少なくとも後退のペースは遅くなり、バブル崩壊のような極端な市場にはなる可能性は低いと考えているようです。
また、連邦統計局はピーク時の価格こそが異常値であり、22年末ごろの都市部の住宅価格は20~45%ほど過大評価されていたと分析。現在の下落により、市場は適正化に向かうとの見方を示しています。
急速な下落を受けてもドイツの人々が落ち着いている最大の理由は、強い受託需要です。ドイツの合計特殊出生率は1.50(2022年)で、それほど高くありませんが、移民の受け入れにより人口は微増傾向にあります。2022年はウクライナからの移民受け入れ数が急増したため、東西ドイツ統一以来最大の人口増加率を記録しました。
人口が増えるなか、住宅の供給が追いついていません。政府が設定する2023年の住宅建設数の目標が年間40万戸なのに対し、ドイツ建設協会が試算した実際に建つであろう住宅数は24万5,000戸。需要を満たすには全く足りない状況が続くため、価格はどこかで下げ止まるだろうと考えられているのです。
急加熱は止まりつつも、人口増という強い燃料を持つドイツの住宅市場。その行く末に注目です。
注目記事
なぜ、こんなにも多くのお客様にご支持を頂いているのか(その1)
なぜ、こんなにも多くのお客様にご支持を頂いているのか(その2)